Walter and Eliza Hall 研究所の科学者が、世界で初めて、細胞死を誘導するアポトーシス調節タンパクの分子変化を画像に捉えた。この成果は、細胞死の過程について重要な理解の手がかりになるもので、将来には、病気にかかった細胞の生死を管理する新しい種類の医薬の開発につながるかもしれない。管理された細胞死、アポトーシスは、体内の細胞の数の管理調節に重要な役割を果たしている。
卵巣ガン再発の際に腫瘍検体を分析する必要がある、ということが2012年2月号のMolecular Cancer Therapeutics誌に掲載された研究で明らかになった。本研究チームは分子プロファイリングと呼ばれる診断技術を使い、原発および再発卵巣腫瘍における分子特性の違いを調べた所、特定のバイオマーカーにおいて著しい違いを発見した。
患者のゲノムをシーケンシングし、疾患の原因を突き止める。このようなルーティンは未だ実施されてはいないが、遺伝学者チームはこれに近づきつつある。2012年2月2日付けのAmerican Journal of Human Genetics誌に掲載されたケース・レポートの研究チームは、血液検査をゲノムの“エグゼクティブ・サマリー”スキャンと組み合わせて行うことにより、重度の代謝性疾患を診断することが可能であると示している。
急性リンパ性白血病(ALL)における最初のセラノスティック薬が開発された。開発したのはケースウェスタンリザーブ大学医学部の研究チームであり、2012年3月5日付けのACS Chemical Biology誌に掲載された。ALLは小児がんの最も一般的なタイプであり、米国で新たに診断される数は毎年約5000人にものぼる。本研究知見は、小児腫瘍学における新たなセラノスティック薬の開発の提示となるであろう。
XRCC2遺伝子に稀に起こる突然変異が、乳がんのリスクを高めることが判明した。2012年3月29日付けのAmerican Journal of Human Genetics誌に掲載された本研究は、乳がんの病歴をもち、なおかつ現在知られている乳がん感受性遺伝子変異を持たない家系を調べたものである。本研究はハンツマンがん研究所(HCI)研究員およびユタ大学(U of U)腫瘍医学准教授、ショーン・タブチギアンPh.D.、ユタ大学皮膚学教授およびHCI研究員、デイビッド・ゴルガーPh.D.、そしてオーストラリア、メルボルン大学病理学教授、メリッサ・サウジー教授の3人の共同主任研究者によって行われた。
パーキンソン病の原因と考えられる遺伝子の変異が新たに発見された。この変異はパーキンソン病の罹患者が多いスイスの大家系を対象として最新のDNA配列解析技術を用いて調査研究した結果判明した。この研究はフロリダのメイヨクリニックキャンパスの神経医学者グループが主宰し、米国・カナダ・欧州・英国・アジア・中東等の共同研究グループを加えて行なわれ、American Journal of Human Genetics誌2011年7月15日号に発表された。「この発見はパーキンソン病の研究に新しい道を作ったのです。私達が発見した新たな遺伝子変異はどれもがこの複雑な疾患を読み解く助けとなるし、新たな治療法の可能性も秘めているのです。」と共同執筆者のズビグニュー・ゾレック博士は話す。