エクソソームの秘めたる可能性

2015.01.26
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 エクソソーム はガン細胞を含む多種多様な細胞から作成される極小の亜細胞系膜結合型小胞である。元の細胞を模する膜や細胞タンパク質、DNA、そしてRNA(mRNAやmiRNA含む)を保有する。今、細胞間における情報のやり取りにエクソソームが活用出来るのではないか、と示唆されているのだ。免疫システムを抑制して血管生成を活性化する分子をガン細胞から伝達することによって、エクソソームはガンを進行させることが分かっている。

高性質のRNAやDNAの詳細までもがエクソソームから分離可能な事から、エクソソームの生体分子がガンやその他の疾患におけるバイオマーカーとして活用出来るのではないか、と推測されている。

エクソソームは通常下でも疾患状態においても、細胞により生体液中に放出される。疾患状態下にあるは、濃縮されエクソソームた完全な状態の疾患特有の核酸とタンパク質を保有する。ガンの場合においては通常の健康な細胞よりも更に速いレートで放出されることが観察されている。 超遠心分離や濾過によってエクソソームを体液から分離することは可能である。これらは観血的なバイオプシーを行なうよりも遥かに魅力的な方法であるではないか。前述したとおり、エクソソームは元の細胞を模しており、エクソソーム"カーゴ"は過剰または過少に再現される分子を保有する。このことから、エクソソームをロードするには選択的なパッケージングが行われていると考えられる。

しかしながらこのメカニズムは未だ解明されていない。RNAの"ZIPコード"に埋め込まれているのではないかという説が有力だが、この仮説はまだ研究中である。 Exosome Diagnostics社やExosome Sciences社など複数の企業がガンやその他の疾患用の診断ツールやモニタリングツールの開発に力を入れている。これらはエクソソーム中のバイオマーカーを活用するものだ。また、エクソソームの除去を疾患の治療に有効活用することも視野に入れられている。例えば、ガンによって作成されたエクソソームは免疫反応を抑制し、血管生成を活性化させる。もしもこれらのエクソソームが取り除かれれば、腫瘍の成長を抑制する抗ガン治療の可能性も出てくる。

さらに、エクソソームをガン細胞治療の際に使用される分子の伝達役として活用することも可能かもしれない。例えば、低分子干渉RNA(siRNA)を特定の発癌遺伝子に伝達するのである。このような方法は医療系の企業から大きな期待を寄せられている。 ここで、エクソソーム関連で使用される単語について注意しておきたい。研究発表者によっては「エクソソーム」や「微小胞」、または「細胞外小胞」や「マイクロ粒子」などと呼ばれるため、何を指しているのかが不明瞭なことがある。これら「エクソソーム」以外の名は更に一般的なものを指す事が多いのだが、このような呼び名の違いからもエクソソームの定義が確定していないのがよく分かる。この問題点は本ミーティング中、複数の研究者から指摘された。 第4回ASEMVミーティングは、エクソソームについて35年もの経験を持つテイラー博士によって開会された。ASEMVのウェブサイトや学術誌の発行など、ASEMVの企業としての成長に触れられた。また、ゴールド博士の貢献を賞賛する場面も見られた。テイラー博士は参加者全員に温かい歓迎の言葉を述べ、最初のスピーカーであるサンドラ・O・ブレイクフィールド教授(マサチューセッツ総合病院およびハーバート医学部神経科)を紹介された。トピックは"細胞外RNA-多様な形容と活用"。

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Michael D. O'Neill
APEX Award Winner
Edited by

Michael D. O'Neill

サイエンスライターとして30年以上の経験を持つ独立系科学ニュース編集者。世界160カ国以上に読者を持つ「バイオクイックニュース」を通じ、生命科学・医学研究の最前線をタイムリーに発信しています。