鳥類用の最大規模のDNAデータセットと次世代シーケンス(NGS)法とにより、スミソニアン研究チームは、世界で最も種類が多く且つ絶滅の危機に瀕している鳥類であるハワイミツスイ種の進化系統樹を解析した。ミツスイ類に属し、その進化のルーツであるフィンチのタイピングを行なうだけではなく、ハワイの主たる4諸島で迅速に進化したタイミングにも焦点を当てた。「55種類を超える色彩豊かなソングバードがいましたが、同属であるかどうかは明確ではありません。種子を食する種もいれば果実やカタツムリを、或いは果汁を食する種もいます。
オウムのような嘴やムシクイのような嘴を持つと思えば、フィンチのような嘴や、もっと細くてまっすぐなものもいます。つまり一番の疑問は一定の時間内で、どうやってそれ程の多様性を有するような進化を遂げたかという事なのです。」と、同プロジェクト遂行時は、スミソニアン保全生物学研究所(SCBI)の保全・進化遺伝学センター(Center for Conservation and Evolutionary Genetics)でポスドクを務め、現在はアールハム・カレッジの生物学准教とジョセフ・ムーア博物館館長であるヒーザー・ラーナー博士は話す。
その答えはどうもハワイ諸島の特殊性にあるようで、北西に延びる島々の形成が、コンベイヤーベルトのように次々新しく成されていった事にある。進化の過程で全く新しい生息環境が生じる訳で、ハワイミツスイ種は生態学的に初めての環境で生育するように強要される事となり、それに適応する中で、進化系統樹上で分岐し別種となって行くのである。
研究チームは、カウアイ−ニイハム島、オアフ島、マウイ−ヌイ島、そしてハワイ島が形成されるに従ってハワイミツスイ種がどのように進化したかを観察した。生物種が別種へと爆発的に進化する最も大きなイベントを「適応拡散」と呼ぶが、それは250万年から400万年前にカウイ−ニイハム島とオアフ島が形成された後に起こった。
しかしそれ以前に、既に、サイズや形や色の異なる6種から10種の別種が進化を遂げていた。「この適応拡散は群島という地理的特質が太平洋の真ん中で開花した自然の科学的宝物のようなものです。
生物学的システムと地理学的な群島形成とが相互に関連し合う大変魅力的な事例であって、これらの鳥類の進化の全容を全て説明してくれるのです」と、スミソニアン博物館博物学センターの動物学者で本論文の共著者であるヘレン・ジェームス博士は語る。
同博士の前職はハワイに生息する鳥類の形態学で、形態学とは生物学から派生した分野であり、生物種の形成や構造を研究する事から、ハワイミツスイに最も近い現存種を調査する為に大変重要な役割を担っているのである。
ハワイミツスイに形態学的、遺伝学的に類似していると見做されている、或いは地理学的に近接している地域に生息している28種類の鳥類から得た遺伝学的データを用いて、本研究チームは現在のハワイミツスイ種はユーラシアン・ローズフィンチ種から進化した事を明らかにした。
他の多くの古来の鳥類が北アメリカに由来しハワイ諸島に土着したのと異なり、ローズフィンチ類はアジアが原産である事が判明した。「ハワイ原産の現存種は存在していないという認識はありますが、ハワイミツスイ種は科学的に価値があり生態学的にも特徴ある重要な役割を有している土着の鳥類なのです。」とSCBIの保全・進化遺伝学センター長で本論文の共著者であるロブ・フレイッシャー博士は語る。
同博士はこれらの鳥類の遺伝学、進化学の研究と保護を25年間続けており、「私たちは十分なDNA解析と必要なテクノロジーを得て、この鳥類の正確な進化系統樹を初めて完成させる事が出来るので、本当にワクワクしているのです。」と続ける。
しかし、ハワイミツスイ種の多様性は、その既知の56種の半分が絶滅するという危険に晒されている。研究グループはこれらのうちの絶滅していない19種に(現在は18種に)焦点を当てているが、6種は国際自然保護連合から絶滅の危機に瀕していると見做され、5種は絶滅の危機が増大していると考えられている。
新たな研究では、博物館の標本や準化石を用いて、絶滅種が進化系統樹や系統発生樹のどこに相当するかを調べ、本研究で判明した総合型に新しい系統が合致しないかどうかを確認している。
今週解析されたDNA研究には、マックスプランク進化人類学研究所のミッチ・ホフライター博士の研究チームが開発した次世代シーケンスプロトコルが用いられた。損傷を受けたり変性したりしている古来のDNAを解析するために、研究チームはDNAを捕まえる最新の技術を活用して、解析に十分な情報を有するデータセットを手に入れるのである。
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