2014年3月4日、健康で実り豊かなヒューマン・ライフの長寿を目指す、ゲノミクス、細胞療法ベースの診断療法開発会社Human Longevity Inc. (HLI) 設立が発表された。発表には共同設立者のJ. Craig Venter, Ph.D.、Robert Hariri, M.D., Ph.D.、Peter H. Diamandis, M.D.の3氏が立ち会った。同社はカリフォルニア州サン・ディエゴに本社を置き、投資家から資本金7,000万ドルを募って事業を始める。

 

HLIの資本金は世界最大のヒト・ゲノム・シーケンシング事業構築に充てられており、この事業は世界最大かつ完全なヒトの遺伝子型、マイクロバイオーム、表現型のデータベースを構築し、老齢化による人体の衰えに関連した疾患の診断治療に供することを目的とする。同社は老齢化による内因性の幹細胞機能衰弱に対応した細胞ベースの治療法の開発でも主導的な立場にある。また、医薬、バイオテクノロジー、学術機関などへのデータベース・ライセンスの他、ゲノム・シーケンシング・サービスや高度な診断治療法の開発などを事業収入の途としている。Dr. Venterは、「当社は、ゲノミクス、インフォーマティクス、幹細胞療法などそれぞれの得意とする分野を持ち寄り、医学、科学、社会全体の分野にわたる大きな課題である老齢化とそれに関連した疾患の解明に取り組んでおり、当社は、今の医学をさらに予防医学、ゲノム・ベースの医学モデルに移行させることでヘルスケア・コストを引き下げられると確信している。当社の目的は単に寿命を伸ばすことではなく、健康で力に満ち、生産的な寿命を伸ばすことにある」と述べている。


HLIは、当初年間4万人分のヒト・ゲノム・シーケンシングで開始するため、Illumina HiSeq X Ten Sequencing Systemを2基 (さらに3基を購入する予定で) 購入し、その後一気に年間10万人分まで拡大する計画で事業を始めた。また、子供、大人、100歳を超える高齢者、患者、健常者など様々な条件のヒト・ゲノムの解析を行う。同社は、もっとも一般的でいつでも使用可能な分野を対象とし、健康で力に満ちた体を維持する治療法を開発する上で他にはない有利な立場にある。また、がん、糖尿病、肥満、心肝疾患、認知症などを専門に研究する専門分野の研究者や臨床医のチームを擁しており、Metabolon Inc.、University of California, San Diego、J. Craig Venter Institute (JCVI) などと戦略的な共同研究体制を組んでいる。さらに、当初は、がんを臨床的シーケンシング作業の対象としている。

遺伝子シーケンシングその他の最先端の技術を使ってこの分野に取り組んでいる者は多いが、生殖細胞系、ヒト・ゲノムや腫瘍ゲノムのシーケンシングと、各患者の包括的な生化学的情報を組み合わせた総合的な臨床研究はこれまでになかった。HLIとUC San Diegoは、UC San Diegoの研究患者の同意を得た上で、患者のゲノム、マイクロバイオーム、腫瘍のシーケンシングをすべて可能にするプロトコールと手順の編成に向けた共同研究協定を結んだ。協定の目的は、診断能力を増強し、患者の治療効果を改善することを目標として、生成したデータを分析、活用、共有するものである。この共同研究は、UC San Diego Moores Cancer Centerで、同センターのDirector、Scott Lippman, M.D.の指揮の下に始められた。HLIでは、UC San Diegoと交わしたような協定やプログラムを世界各地の診療センターとも交わしていくことを考えている。

HLIの研究チームは、ヒト・ゲノム全体のシーケンシングでゲノム・データを収集する他、Karen Nelson, Ph.D.の率いるBiome Healthcare部で同じ患者からのマイクロバイオーム・データも編成する。Dr. Nelsonと研究チームは、ヒトの腸を対象としてヒト・マイクロバイオームの研究を初めて行い、その研究論文は2006年のScience誌で発表されている。マイクロバイオームは、人体表面や体内に棲んでいる微生物総体を指す言葉で、人の健康や疾病を大きく左右しており、したがって、腸、口腔、皮膚、肺その他の体の部位のマイクロバイオームの理解を深めることでプロバイオティクスその他の先進的な診断治療法を開発し、人の健康と幸福を向上させることができると確信している。そのため、HLIでは、マイクロバイオームのデータの他にも患者個人のメタボロミック・データも集め、解析する。このメタボロームとは人体全体を循環する代謝物質、生化学物質、脂質の総体を意味する。集めたゲノミック試料からこれらのデータを引き出すため、HLIは、診断製品やサービスのメーカー、Metabolon Inc.と協定を結び、生化学プロファイル作成プラットフォームの提供を受けていく。体内を循環する化学物質の全体像を定量化し、理解することで、患者個人の健康状態を明確に把握し、薬物作用関連のマーカーや経路を定めることができるため、メタボローム研究が重要になる。また、同社は、進歩する幹細胞療法を利用し、健康な寿命を強化向上させることを目指し、複数の方向から研究を進める野心的な作業を計画している。

HLIの研究は、人体が老齢化するにつれて様々な生体的変化が起き、特に人体の各組織にあわせて分化し、特化した細胞のゲノムに変化と劣化が起きるという理論を前提としている。さらに、時間の経過とともに、体内の健康な再生能力を持った幹細胞の数も減り、劣化も進む。また幹細胞の分化、正常な老齢化、疾患発症などに関連して起きるゲノムの変化を観察する。Dr. Haririは、「健康な長寿の世界市場は膨大であり、65歳以上の人口のヘルスケア支出は7兆ドルを軽く超えるとされている。HLI独自の科学と技術、さらにビジネス・リーダーシップを統合すれば、新しい診断技術と治療技術でヘルスケア市場に大きなインパクトを与えることができると確信している」と述べている。HLIはまた、JCVIとも、プロテオミクス、伝染病診断、ヒト・マイクロバイオームなどの分野に関する共同研究体制、研究サービス協定を結んだ。JCVI設立者のDr. Venterは同社のCEOを務めており、ヒト、微生物、合成ゲノミクスの主導的立場にあり、HLIはJCVIからその知的財産のライセンスを供与される。Dr. Diamandisは、「1910年から2010年までの100年の間の医学と衛生の発達で人間の寿命は50歳から75歳まで50%伸びた。こんにち、HLIのような組織が開拓し、推進しているこの分野の技術のめざましい進歩で人間の寿命はさらに大きく伸びることだろう」と述べている。

カリフォルニア州サン・ディエゴに本社を置く非上場企業HLIは、ゲノミクスや幹細胞治療法の先駆者によって2013年に設立された。HLIは、ゲノム・シーケンシング、ヒト・マイクロバイオーム、プロテオミクス、インフォーマティクス、コンピューティング、細胞療法技術を用い、老齢化関連の疾患や人間の生体的な劣化への対応を支援する様々な事業チャンス展開の基礎となる世界でもっとも包括的なヒト遺伝子型や表現型のデータベースの構築を進めている。HLIは、そのデータベースへのアクセスをライセンス供与し、その提供製品として新しい診断・治療法の開発を事業として進めていく。次のウエブサイトに詳しい資料が掲載されている:

■原著へのリンクは英語版をご覧ください:
Craig Venter Co-Founds Company Intended to Be Largest Human Sequencing Operation in World

この記事の続きは会員限定です