カリフォルニア州のUCLA ジョンソン総合がんセンターは、健常時および傷害後の微小環境によって造血幹細胞がどのように維持されているか重要な違いを発見した。人体は、健常時や、例えば癌の放射線治療のようなストレスやけがの時に単一成長因子を産生する細胞種を切り替えているように思われる。この研究結果は、放射線治療で造血幹細胞が実質的に枯渇していそうな時や、骨髄移植を受けている人の治療に影響を及ぼす可能性がある。


この研究は、UCLAのデーヴィッドゲフェン医学部 血液学・腫瘍学の教授であるJohn Chute博士が率いたもので、Cell Stem Cellで発表された。
この論文は、「プレオトロフィン制御造血幹細胞の維持および再生の骨髄源(Distinct Bone Marrow Sources of Pleiotrophin Control Hematopoietic Stem Cell Maintenance and Regeneration)」と題されている。

血液形成または造血幹細胞は、白血球、赤血球および血小板などの様々な種類の成熟血液要素に分化することができる。それらは、様々なタイプの周囲の細胞が取り囲む骨髄中の「血管性ニッチ」に生存し、部分的には成長因子と呼ばれる化合物を分泌する。このUCLAの研究は、プレオトロフィン(PTN)と呼ばれる成長因子に焦点を当てている。


Chute博士と彼のチームは以前にプレオトロフィンを発見していたが、それを分泌する細胞の種類を特定していなかった。

「幹細胞研究には、幹細胞を制御する微小環境細胞は何か?どうのようにしてそれが行われるのか?という2つの重要な課題がある。」とChute博士は語った。
これを調べるために、研究チームは、血管を構成する内皮細胞、結合組織を構成する間質細胞などを含む様々なタイプの骨髄細胞において、プレオトロフィン発現を欠損したマウスを繁殖させた。

研究者らは、内皮細胞がプレオトロフィンを分泌しなかった健康なマウスは、骨髄機能が最も弱いと予測した。しかし彼らは別のことを見つけた。
「間質細胞におけるプレオトロフィンの欠失は、血液幹細胞の枯渇を引き起こした」とChute博士は述べた。
「内皮細胞、骨細胞、および血球からのプレオトロフィンの欠失は効果がなかった。」

次に、研究チームは動物の体が放射線照射によってストレスを受けたときに同じことが起こるかどうかを調べたいと考えた。
「驚くべき発見は、放射線照射後の血幹細胞再生のために、間質細胞からのプレオトロフィンが必要ではなかったが、内皮細胞からのプレオトロフィンが必要だったことだ」とChute博士は述べた。
この結果は、健常時の幹細胞の維持が間質細胞によるプレオトロフィンの分泌に依存し、損傷後の再生には、内皮細胞が入り込むことを示唆している。
「照射後、血管内皮細胞におけるプレオトロフィンの発現が増加する。切り替えが発生する理由は謎だ。」とChute博士は述べた。

この発見は、骨髄幹細胞を枯渇させる化学療法および放射線治療に影響を与える可能性がある。
「がん患者のためのこれらの治療法は、私たちの血液細胞システムを継時的に抑制する。血球の再生を促進するために、改変された組換えプレオトロフィンを患者に投与することができるかもしれない。この戦略は、骨髄移植を受けている患者にも適用することができるだろう。」とChute博士は述べた。

もう一つの基本的な取り組みは、健常状態での造血幹細胞の行動と制御が、ストレスや怪我の際には適用されない可能性があるということだ - 人間の血液疾患を研究する動物モデルを開発する研究者にとって重要な教訓である。
「我々の成果は、血液システムにとってホメオスタシスと再生のプロセスが異なることを広く示唆している。傷害後の幹細胞の回復を制御する細胞やメカニズムの理解が深まることで、患者の血液幹細胞や病気と戦うための造血幹細胞の生成に近づくだろう。」とChute博士は語った。

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正常マウス(左)および照射24時間後のマウス(右)における骨髄血管(赤色)および間質細胞(白色)におけるプレオトロフィン(緑色)の発現。 (クレジット:UCLA広域幹細胞研究センター/ Cell Stem Cell)

【BioQuick News:UCLA Research Reveals Key Difference in How Stem Cells Act When Stressed Versus When at Rest

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