ノースカロライナ州立大学の研究者は、毛髪の再生を促進する可能性のあるマイクロRNA(miRNA)を特定した。 このmiRNA(miR-218-5p)は、毛包の再生に関与するパスウェイの調節に重要な役割を果たしており、将来の薬剤開発の候補となる可能性がある。毛髪の成長は、毛包の成長サイクルを調節する真皮乳頭(dermal papillae)細胞の健康に依存する。 脱毛のための現在の治療は、侵襲的な手術から望ましい結果をもたらさない化学的治療に至るまで、費用がかかり、効果的でない場合がある。 最近の脱毛の研究によると、脱毛が起こっても毛包は消えず、収縮するだけである。 それらのサイトで真皮乳頭細胞を補充できれば、毛包は回復するかもしれない。ノースカロライナ州立大学獣医学部の再生医学で著名な教授でありノースカロライナ州/ UNCの生物医学工学部の教授であるKe Cheng博士が率いる研究チームは、真皮乳頭細胞を二次元培養と三次元細胞培養によるスフェロイドの両方で培養した。


この研究は、2020年7月24日にサイエンスアドバンスでオンライン公開された。このオープンアクセス論文は、「miR-218-5pを含む皮膚エクソソームは、β-カテニンシグナル伝達を調節することにより、毛髪の再生を促進する。(Dermal Exosomes Containing miR-218-5p Promote Hair Regeneration by Regulating β-catenin Signaling.)」と題されている。


スフェロイドは、細胞の自然な微小環境を効果的に再現する三次元の細胞構造だ。 Cheng博士は、毛髪の再生のマウスモデルで、二次元培養真皮乳頭細胞、三次元スフェロイド培養真皮乳頭細胞をケラチン足場に入れ、市販の脱毛治療用ミノキシジルで処理したマウスの毛がどれだけ早く再生するかを調べた。 20日間の試験では、三次元スフェロイド培養真皮乳頭細胞で処理されたマウスは15日間で毛髪の90%を回復した。

「ケラチン足場の三次元細胞は、スフェロイドが髪の微小環境を模倣し、ケラチン足場がアンカーとして機能して、必要な場所にそれらを維持するため、最高のパフォーマンスを発揮した」とCheng博士は述べている。 「しかし、真皮乳頭細胞が毛包の成長過程を調節する方法にも興味があったので、その微小環境からの エクソソーム 、具体的にはエクソソームmiRNAを調べた。」

エクソソームは、細胞から細胞へのコミュニケーションに重要な役割を果たす細胞によって分泌される小さな膜結合嚢だ。 エクソソームはしばしばmiRNAを含んでいる。

マイクロRNAは、遺伝子発現を調節する低分子だ。 Cheng博士と彼のチームは、二次元と三次元の両方の真皮乳頭細胞に由来するエクソソームのmiRNAを測定した。 三次元真皮乳頭細胞由来のエクソソームで、毛包の成長を促進する分子パスウェイを強化するmiRNAであるmiR-218-5pを特定した。 彼らは、miR-218-5pの増加が毛包の成長を促進し、それを阻害することで毛包が機能を失うことを発見した。

「三次元細胞を用いた細胞療法は脱毛症の効果的な治療になる可能性があるが、成長、拡大、維持するために、それらの細胞をその領域に注射する必要がある。」とCheng 博士は述べた。 「一方、miRNAは低分子ベースの薬剤で利用できる。 したがって、潜在的に、問題がはるかに少ない同様の効果を持つクリームまたはローションを開発できる可能性がある。 今後の研究では、このmiRNAだけを使用して育毛を促進することに焦点を当てて行く。」

この論文で、Cheng 博士が論文の責任著者、ポスドク研究員のShiqi Hu博士が筆頭著者になっている。

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BioQuick News:Dermal Exosomes Containing MicroRNA-218-5p Promote Hair Regeneration

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