腸内細菌による新しいアプローチ:リバウンドを防ぐために

マーストリヒト大学のエレン・E・ブラーク博士(Ellen E. Blaak)とサラ・マウント(Sarah Mount) らの研究チームは、以下の研究論文を発表しました。「「Pasteurized Akkermansia muciniphila MucT for weight loss maintenance in people with overweight and obesity: a controlled randomized trial(過体重および肥満の人々における減量維持のための低温殺菌アッカーマンシア・ムシニフィラMucT:ランダム化比較試験)」」

これまでの前臨床研究において、腸内粘膜に共生する細菌「アッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)」が、食事による肥満を防ぐ可能性が示唆されていました 。

今回のランダム化比較試験では、過体重または肥満の成人90名を対象としています 。参加者はまず、8週間の低エネルギー食による減量(28%の体重減少)を行いました 。その後、24週間にわたって健康的な食事を自由に摂りながら、低温殺菌したA. muciniphila MucT、またはプラセボ(偽薬)のいずれかを毎日摂取しました 。本試験の主要評価項目は、この維持期間中における体重の変化です 。

 

臨床試験の驚くべき結果

結果として、MucTを摂取したグループはプラセボグループと比較して、体重維持期間終了時のリバウンド(体重の再増加)が有意に少ないことが明らかになりました 。

  • MucT群の体重増加:1.2±0.7 kg
  • プラセボ群の体重増加:3.2±0.4 kg
  • (P=0.012)

さらに、試験開始時(ベースライン)から維持期間終了までの正味の減量幅を見ても、プラセボ群よりMucT群の方が大きいという素晴らしい結果が得られました(3.1±0.7 kg、P=0.009)。また、参加者の腸内に元々存在していたアッカーマンシア属の量(豊富さ)は、MucT摂取による心血管代謝の改善反応と関連していることも分かっています 。

安全性についても、この治療に関連する重篤な有害事象は観察されませんでした 。

 

今後の展望と結論

今回の介入は比較的短期的であることや、有効成分を持たない改変株を投与する対照群が設けられていないことなど、いくつかの制限事項があり、今後の研究で解決していく必要があります 。

しかし、今回の発見は、低温殺菌されたA. muciniphila MucTが、減量(WL: weight loss)後の体重維持(WM: weight maintenance)における有望な戦略となる可能性を強く示しています 。

https://www.nature.com/articles/s41591-026-04394-7

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