通勤や仕事で外出する際にはカバンをお持ちになることが多いかと思います。好みにも依りますが、ゆったりした大きめのカバンで中身が少ないときは自立しなくてヘナヘナと倒れてしまうことがありますね。そういうときに「カバンの骨」があると良いようです。ご自分で工夫されている方もおられるかもしれませんが、実際に売ってるのを知りました。
値段も手頃で思わずポチってしまいそうです。今回の話題は『たんぱく質の骨』です。たんぱく質が立体構造を持っていることはよく知られています。溶液中での核磁気共鳴解析や結晶化したサンプルを X 線解析してたんぱく質の立体構造は得られ、PDB(Protein Data Bank)などで データベース化されています。一定の形を持ったたんぱく質を加熱したり変性剤にさらすと、構造が壊れてポリペプチド鎖は紐のような状態になります。この紐状化は、たんぱく質の二次構造が崩れて起こります。α-ヘリックスや β-シートに代表される、たんぱく質の二次構造は、比較的近いアミノ酸残基間での相互作用に依存して形成されます。さらに、ポリペプチド鎖が折畳まり 複数個の β-シートが束になって安定化します。これらの二次構造がたんぱく質の骨なのです。
先日、コラーゲンを遺伝子から大量発現させている研究者と話をする得ました。
我々動物のコラーゲンは、三重らせんという特異な構造を持っていますが、これは特定の位置のプロリンが水酸化して4-ヒドロキシプロリンになることが必要です。プロリン残基の修飾はプロリン4-モノオキシゲナーゼが触媒します。
プロリンが修飾されていないコラーゲンは、簡単に水に溶けてサラサラになる、極めて性質の良い扱いやすいたんぱく質です。
また、分解酵素やアルカリ処理に弱く、いわゆる骨なしコラーゲンであります。純化した組換コラーゲンに後からプロリン4-モノオキシゲナーゼを加えても、プロリン残基はランダムにヒドロキシ化され、三重らせん構造はできないことから、プロリンの「骨形成」には細胞内のしかるべき環境での修飾が必要なようです。
抗体も「骨」として β-シート構造を豊富に持っています。骨があるからこそ抗原抗体間の相互作用が安定に保たれるわけです。さらに、分子内にシステイン残基間のジスルフィド(S-S)結合をいくつも含み、しっかりした形を作っています。
また、糖鎖付加や酸化、脱アミド化なども血漿中での抗体分子の機能調節に少なからず役立っています。このような抗体の翻訳後修飾に特化した技術を提供している会社があるのですね。抗体は、抗原結合部位が注目されがちですが、「骨」を含めた全体があって生体防御分子としての機能が発揮されることをしっかり理解しておきたいものです。
