バージニア海洋科学研究所(VIMS)によって成された「海洋法医学」における新たな発見により、アメリカ連邦シーフード管理局は、カジキマグロの代表格であるブルーマーリンを遺伝子検査して元来生息していた海域を、素早く且つ正確に割り出す事が出来るようになった。この検査は、アメリカのシーフード市場で販売されているブルーマーリンが、大西洋で獲れたものではない事を確認するために、必要なのである。
アメリカにおいては、大西洋やインド洋や太平洋で捕獲されたブルーマーリンを、輸入したり販売したりするのは合法であるが、大西洋産の場合は、民事上や刑事上の罰則規定があり、罰金徴収や現品の差し押さえ、或いはフィッシング許可の取り消しなどが成される。アトランティック・ブルーマーリンの保護条例は、大西洋における過度の捕獲と生息数の激減に対応するためのものである。全長13フィート、体重2,000ポンドに達する、この堂々たるブルーマーリンは、マグロ漁やメカジキ漁に付随して捕獲されたり、レクレーション・フィッシングを楽しむ釣り師達の恰好の対象となる。
マーリンはレストランの素敵なメニューになり、カリブ海一帯では魚肉バーベキューの串刺し肉として、或いは魚肉フライの恰好の食材になる。VIMSの研究チームの、大学院生ラウリー・ソレンソン、 分子生物学者ジャン・マックドイウェル博士、そしてジョン・グレイブス教授等は、研究成果を「ブルーマーリン、Makaira nigricansを同定するマイクロサテライトマーカーの分離と評価」として、Conservation Genetic Resources誌(Volume 3, Issue 4, 2011)に発表した。
Ms.ソレンソンは、VIMSウィリアム・アンド・マリーズ海洋科学カレッジの修士論文の一部として、同論文を発表した。グレイブス博士とマックドウェル博士は共同研究者として参画した。
大西洋マグロ保護国際委員会(ICCAT)のアメリカ諮問委員会会長を務めるグレイブス博士は、「大西洋で獲れたブルーマーリンは、規制のないインド洋や太平洋原産であると偽装されて、不法にアメリカ市場に出回っています。ラウリーとジャンは、当局が、インド洋や太平洋産か大西洋産かを容易に識別できる10個のマイクロサテライトマーカーを見つけました。」と説明する。
魚肉の由来がブルーマーリンか、別のカジキ種なのかを判別する遺伝子検査は、海洋法医学プログラムによって執り行われるが、このプログラムは、サウスカルフォルニア州チャールストンの沿岸環境ヘルス&分子生物研究NOAAセンターに所属する。このNOAAセンターは、国立海洋サービス国立研究センター沿岸海洋科学研究所に所属する。
チャールストン研究所でブルーマーリンの検査責任者であり、法医学生物学者であるトレイ・ノット博士は、「私たちがVIMSの研究者たちと協同できるのは、大変価値があることです。もし私たちの研究所に専門的なサポートがなければ、このようなR&Dプロジェクトに取り組むことは出来なかったと思います。VIMSからはビルフィッシュに関する多くの歴史的経験や知識を教えてもらっています。」と語る。
ノット博士はこの冬にVIMSを訪問し、新しい試験方法の紹介を受ける予定である。彼はその新しい試験法をチャールストン研究所に伝授し、そこで来年末までには現場での実施を実現させる。
NOAA法規施行部局によれば、アトランティック・ブルーマーリンの違法販売は、レクレーション・フィッシングの港にマーリンが陸揚げされたら直ぐに、業者や個人に太平洋産として販売されるということだ。NOAA法規実施部局の南東地域を担当する、特別捜査補佐官であるジェフ・ラドンスキー氏は「国内では商業漁業については概して問題はありません。しかしレクレーション・フィッシングで捕獲されたビルフィッシュが、ブラックマーケットを通して流されています。
場所によっては、レクレーション・フィッシングの釣り人たちが、アトランティック・ブルーマーリンやバショウカジキを意図的に捕獲し、釣りに掛かる費用を稼ごうとしています。水面下では、合法的に輸入したマーリンを違法捕獲種と混ぜて、不正な事業ライセンスやインボイスで売り捌こうとされています。」と説明する。
新しいテスト法では「マイクロサテライトマーカー」が使用されており、これはテスト対象となる生物の細胞内の遺伝子の配列に存在する、繰り返し配列を解析する方法である。近種の個体同士では、例えば大西洋のブルーマーリン同士とインド洋や太平洋のブルーマーリン同士とでは、繰り返し配列のパターンが類似しており、由来を同定するための「指紋」として使用される。「新しいマーカーは、太平洋産とインド洋や太平洋産を見分けるのに、都合良く機能します。感度も良く使い勝手も便利です。
これらのマーカーを使用すれば、原産海域の同定のための強力な手段となり、この保護種の法規制を実施強化するのに役立ちます。」とMs.ソレンソンは語る。
研究チームはブルーマーリンの心臓組織を解析することで、新しいマーカーを発見し、ブルーマーリン40検体の組織サンプルを解析して、その有効性を証明した。40検体のうち、20検体はハワイの近くの太平洋の中央部にて採取され、もう20検体は、ガーナ沿岸の赤道東部の大西洋で採取された。採取された検体は遺伝子工学の定法に従ってPCRなどの技術により、マイクロサテライトが単離された。「新たな試験法は、ブルーマーリンが大西洋産かインド洋や太平洋産かを、判別するために大変役に立ちます。アトランティック・ブルーマーリンの販売を禁止する法規制の実施を行うために、十分に正確な情報を提供できます。」とMs.ソレンソンは説明する。
VIMSでも開発された現在のブルーマーリンの遺伝子マーカーは、部分的にしか有効ではない。「私達の早期研究では、アトランティック・ブルーマーリンの凡そ40%は、大西洋原産特有のミトコンドリア遺伝子断片を有しています。この発見を基に、試験サンプルがこの40%に相当する、即ち明確に大西洋産と特定出来るかどうかを簡便に判別するアッセイ法を、現在開発中です。
しかし一方で、残りの多くのサンプルは、まだ原産の特定が出来ないままです。」とマックドウェル博士が語る。
VIMSの研究チームはアトランティック・ブルーマーリンとパシフィック・ブルーマーリンの合計344検体分の遺伝子タイプを集めたレファレンス・データベースも作成している。同チームは研究結果の論文化の最中であり、原産の海域を実証するための統計解析や課題テストを含む。
[BioQuick News: New Genetic Markers Will Aid Regulation of Blue Marlin Fishing">



