幸せな結婚と不幸な結婚を決めるのは何か - University of California (UC) BerkeleyとNorthwestern Universityの研究チームは、DNAに大きな決め手があることを突き止めた。遺伝、感情、結婚満足度の関係を調べたおそらく初めての研究の報告によれば、セロトニン調節にかかわる遺伝子で感情のあり方が人間関係にどれほど影響するかが決まるとしている。研究自体はUC Berkeleyで行われた。
2013年10月7日付「Emotion」オンライン版に掲載された研究論文の首席著者でUC Berkeleyの心理学者、Dr. Robert W. Levensonは、「長年謎とされてきたのは、ある人は自分の結婚生活の感情的な温度に敏感で、ある人はまったく鈍感なのはなぜかということだ。この研究で、感情を重視する人とそうでない人との違いは何によって決まるのかということに少し理解が深まった」と述べている。
この研究チームは、特に人間関係満足度と、5-HTTLPR (セロトニン・トランスポーターにリンクされた多型領域) と呼ばれる遺伝子の変異体または「アレル」に関連性があることを突き止めた。1990年代中期に発見された5-HTTLPRは、これまでに徹底して研究されてきたが、特に神経精神疾患とのつながりがよく研究されている。ヒトはすべて両親からこの遺伝子の変異体のコピーを受け継いでいる。研究の結果、短い5-HTTLPRアレルを持つ人は、怒りや軽侮などの否定的感情が大きいと結婚生活を不満足に感じる度合いが強く、ユーモアや親愛の情など肯定的感情が大きいと結婚生活を満足に感じる度合いが強かった。これと対照的に、アレルの1本か2本が長い人と結婚生活の感情的な傾向にそれほど左右されなかった。
150組を超える夫婦を20年以上にわたり追跡調査してきたこの研究を指導したDr. Levensonは、「良い人間関係の要素とは何かということを理解しようと努めてきたが、常に感情が重要な要素として浮かび上がってくる」と述べている。ただしとして、研究チームは、「この発見は、5-HTTLPR変異体が異なる2人の相性が悪いということを意味するものではない」と強調している。むしろ、アレル2本が短い人は夫婦関係の善し悪しに大きく影響されやすいということを示している。100人以上の配偶者の遺伝子型を調べ、その配偶者がパートナーとどのように関わり合うかを長年にわたって観察した結果、アレルとの関係が実証されたと述べている。この研究論文の筆頭著者でNorthwestern Universityの人間開発社会政策准教授を務めるDr. Claudia M. Haaseは、UC Berkeleyの博士号研究員としてこの研究に携わった。そのDr. Haaseは、「アレル2本の短い人は温室の花のようなもので、結婚生活で感情温度が良好だと大きく花開くが、感情温度が適していないとしおれてしまう。逆にアレルの1本か2本ともが長い人は結婚生活の感情温度にそれほど影響を受けない。どちらがいいとか悪いとかということではない。どちらも利点と欠点がある」と述べている。
この研究には156組の中高齢者カップルが参加しており、Dr. Levensonと研究チームは1989年以来この参加者カップルを追跡調査し続けてきた。カップルは5年ごとにUC Berkeleyを訪れ、結婚満足度を報告し、研究室で互いに話し合いをするが、その間、研究者は、カップル双方の表情、ボディ・ランゲージ、声の調子、話題などを基にして、会話をコード化する。最近になって、研究参加者のうち125人がDNA試料を提供した。研究チームは、それぞれの遺伝子型と結婚満足度や研究室でのやりとりの感情的傾向などと照らし合わせた。
その結果、5-HTTLPRが2本とも短い配偶者は研究参加者の17%を占めていたが、会話の感情的なトーンと結婚生活に対する気持ちの間に強い相関性が見られた。一方、アレルの1本または2本ともが長い配偶者は全体の83%を占めており、会話の感情的な質は、その後の10年間の結婚満足度とほとんど相関性がないか、まったくないことが明らかになった。遺伝子、感情、結婚満足度の間の関連は高齢者でとりわけ顕著になっていた。Dr. Levensonは、「研究の過程で見つかったこの現象については一つの解釈が考えられる。私たちは、幼児期と同じように晩年になるほど遺伝子の影響が再び強く表れるようになるということだ」と述べている。
■原著へのリンクは英語版をご覧ください:New Study Links Gene Variant to Marital Satisfaction



