Houston Methodist Research Instituteの研究チームは、初段階の研究で血清バイオマーカー中の乳がん細胞検出に成功し、将来的には血液検査で乳がんの早期発見が可能になるだろうと発表した。同研究チームは血液検査による乳がん早期発見法の開発を行っている。

 

2013年10月21日付「Clinical Chemistry」オンライン版に掲載された研究論文で、同研究チームはNew York University Cancer Instituteの研究者と共同研究を行い、マウスとごく少数の患者から採取した試料で、カルボキシペプチダーゼN (CPN) 酵素によって生成された血中遊離タンパクの混合で早期乳がん細胞を正確に予想することができたと報告している。


プロジェクトを指導したバイオメディカル・エンジニアのTony Hu, Ph.D.は、「この研究論文では、カルボキシペプチダーゼNの触媒活動と、乳がん患者や乳がん動物モデルから臨床的に採取した試料中のがん進行の関係を述べた。研究の結果、CPNが生成した循環ペプチドが、乳がんの発生早期と進行をはっきりと示すシグネチャーになることが突き止められた」と述べている。この技術はまだ公開されておらず、また公開にはまだ何年かかかる見込みである。その前にさらに大がかりな臨床試験が必要であり、その試験は2014年初めから開始される予定になっている。

現在、乳がんの早期発見に結びつく安価なラボ検査法はなく、世界中の研究者が安価な乳がん早期発見検査法を見つけ出そうと懸命になっている。Dr. Huは、「私たちの目標は、生検や高価な画像検査法を用いずに、組織部位で進行していることをプロファイル化する非侵襲的な検査法を開発することだ。それができれば患者にとっても福音になり、既存の技術よりもはるかに安価な検査が可能だ。現在の検査法は、検査材料そのものは1検査あたり$10程度だが、検査を実施するコストの方がはるかに高いのが現実だ」と述べている。CPNは、まずタンパク質が生成された後にそのタンパク質を変化させる酵素である。これまでの研究では、この酵素が肺がん患者の体内で活発になることだけが突き止められていた。「Clinical Chemistry」に掲載された研究論文は、CPNが乳がん患者の体内で活発になるだけでなく、それ以上の動きをしていることを初めて突き止めた。

Dr. Huの研究チームが開発した技術は、ナノテクノロジーと高度技術の質量分光分析法を組み合わせ、CPNが生成した小分子タンパク (ペプチド) を極微量でも分離し、検出することができる。このようなペプチドはがん細胞中またはその周辺で作られ、最終的に血流に入り込むものと考えられている。Dr. Huの研究チームは、まず動物モデルと患者の生検試料から乳がん組織の存在を確認し、試料中の乳がん進行段階の特徴を判定し、さらにどの程度までCPNが発現されているかに注目した。各患者から血液試料も採取した。血清タンパクは、4nmの穴が無数に開いているナノ多孔性シリカ・チップを使い、この極微小な穴で小分子タンパクを取り込み、分離させ、次に分光分析にかけた。研究チームは、MALDI-TOF質量分光分析装置を用い、CPNによって生成された6種類のペプチドのライト・シグネチャーの残りの部分を分析した。その後で、乳がんと診断された患者の乳がん組織の進行段階と血中のCPN生成ペプチドの存在を比較した。

その結果、乳がんの第一期段階でもすでに6種類のペプチド全てが高濃度で検出された。この段階はがん細胞と2cm以下の腫瘍が見つかるか、または腫瘍がまったくできていない段階と定義されている。さらに、マウスに乳がん組織を注入したところ、2週間後には、対照群と比べてCPNタンパク濃度がかなり高くなっていた。興味深いことに、マウスを使った8週間の研究では時間が過ぎるにつれてCPNの活動がかなり低下している。そのことから、現在の血液検査法では末期段階の乳がんを正しく発見できない場合もあると考えられる。Dr. Huは、この現象をさらに調べる予定だと述べ、「活動が低下するとはいえ、8週目でもCPNの活動はベースラインに比べてかなり高い。疾患の進行につれて、異なる酵素の活動が上がったり下がったりしているのではないかと想像している。今後は、これまでに知られているバイオマーカーや新たに見つかるバイオマーカーを血液検査に加えることで安定した精度の高いものにしていくことを考えている」と続けている。

現在の乳がん早期発見検査方法は高価であり、American Cancer Societyも、乳がん予防手段としては一般には推奨していない。同団体ではむしろ40歳以上であれば健康な女性も毎年乳房造影検査を受け、個々人の乳がん発症リスクについて医者と相談するよう勧告している。40歳未満の女性では、何らかの理由で医者の診察を受ける際に臨床的に乳房の検査を受けるか、または3年に一度定期的に検査を受けることを勧めている。

Clinical Chemistryに掲載されたこの研究に参加した他の研究者は次の各氏: Yaojun Li, Ph.D.、Yueguo Li, Ph.D.、Tao Chen, M.D.、Anna S. Kuklina、Paul Bernard、Haifa Shen, M.D., Ph.D.、Mauro Ferrari, Ph.D. (Houston Methodist Research Institute)、Francisco Esteva (NYU Cancer Institute)。

■原著へのリンクは英語版をご覧ください: Blood Test Shows Promise for Early Detection of Breast Cancer

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