MRgFUS (MRガイド下集束超音波)による熱アブレーションは、線維腫やがんの非侵襲的治療法である。University of California, Davis (UC-Davis) の新しい研究は、このテクニックをナノ粒子を用いた化学療法と併用することでマウスのがんを根絶できることを示した。
MRgFUSは、超音波ビームで組織を熱して破壊する手法を磁気共鳴映像法 (MRI) と組み合わせ、MRIによってビームを誘導し、同時に治療の効果をモニターすることができる。
さらに、この治療法では、がん周辺部の正常組織や重要な構造に損害を与えないよう、また微小がん組織転移部分だけを破壊するよう、その効果を絞り込むことができる。
The Journal of Clinical Investigationオンライン版に掲載されたオープン・アクセス論文で、UC-DavisのDistinguished Professor of Biomedical Engineeringを務めるKatherine W. Ferrara, Ph.D. (写真) と同僚研究者は、がん周辺部の組織を熱破壊せず、がんだけを完全に破壊する治療法について報告している。
同研究チームは、MRgFUS熱アブレーション治療を行った数種のがん組織で抗がん剤濃度が急激に上昇することを突き止めた。2015年11月23日付のこの研究論文は、「Ultrasound Ablation Enhances Drug Accumulation and Survival in Mammary Carcinoma Models (超音波アブレーションによる乳がんマウス・モデルの薬剤集中と生存率を強化)」と題されており、第一著者を務めたUC Davis Physician Scientist Training Program大学院生のAndrew Wongは、「MRgFUSは、子宮筋腫の治療や骨転移の痛み緩和の治療法としてすでにFDAの認可を受けている。私達は、これに化学療法を組み合わせ、その適応範囲を広げたいと考えた」と述べている。
以前のDr. Ferraraの研究で、超音波照射による適度な加熱で抗がん剤を含んだナノ粒子ががんに集積することが明らかになったが、この集積の度合いはがんのタイプによって異なっていた。Dr. Ferraraのグループは、熱アブレーションとナノ粒子化学療法を組み合わせることでより広範囲ながんに対して効果を高められるのではないかと考えた。
そこで、陽電子放出断層撮影/コンピュータ断層撮影法 (PET-CT)、磁気共鳴映像法、オートラジオグラフィ、蛍光撮像法などいくつかのテクニックを使って、乳がんマウス・モデル体内での抗がん剤のドキソルビシンを載せたナノ粒子の動きを追跡した。
その結果、超音波ががんを損傷させると同時に局部の免疫反応を引き起こすと、ナノ粒子ががんに集積し、局部の薬剤濃度が50倍に上昇することを突き止めた。 このような薬剤の高濃度は数週間続き、がん細胞が抗がん剤の攻撃を受ける度合いも高まった。
この研究で、MRgFUSによって薬剤集積が強まった結果、乳がん症状発現前のマウス・モデルで、がんの一部が死滅せずに残った場合でも、生存率が高まり、着実な治癒が進んだ。
さらに、熱活性ナノ粒子を用いるプロトコールを慎重に設計し、このナノ粒子を超音波で穏やかに加熱すると、粒子に載せられていた抗がん剤ががん周辺の血管中に放出され、治療効果を上げられることも突き止めた。 UC-Davisの研究チームの他のメンバーとして、Brett Z. Fite、Yu Liu、Josquin Foiret、Azadeh Kheirolomoom、Jai W. Seo、Katherine D. Watson、Lisa M. Mahakian、Sarah Tam、Alexander D. Borowskyらが参加している。
原著へのリンクは英語版をご覧ください
Thermal Ablation by MRI-Guided Ultrasound, Combined with Nanoparticle-Delivered Chemotherapy, Cures Tumors in Pre-Clinical Mouse Model of Breast Cancer



