100年以上生きる動物種は約35種しか知られておらず、そのほとんどは互いに関連していません。長寿種を3種以上含むのはセバステス属(海洋の岩魚)だけです。しかし、市民科学のコラボレーションにより、アリゾナ州に生息する淡水魚の3種が100歳以上生きることが特定されました。
「バッファローフィッシュの驚異的な長寿を明らかにするアリゾナの3種の淡水魚の百年寿命」(Centenarian Lifespans of Three Freshwater Fish Species in Arizona Reveal the Exceptional Longevity of the Buffalofishes)という論文は、ミネソタ大学ダルース校のアレック・ラックマン博士(Alec R. Lackmann,PhD)らによって2023年10月20日にScientific Reports誌で公開されました。


バッファローフィッシュは北米原産で、3種(ビッグマウス・バッファローI. cyprinellus、スモールマウス・バッファローI. bubalus、ブラック・バッファローI. niger)はミシシッピ川やハドソン湾近辺に固有です。フレッシュリップ・バッファローI. labiosusはメキシコ原産、ウスマシンタ・バッファローI. meridionalisはメキシコとグアテマラ原産です。バッファローフィッシュは大きく(最大36キログラム)、19世紀後半から20世紀初頭にかけて食用として重宝されました。20世紀初頭、漁業局はバッファローフィッシュの孵化プログラムを開始し、1911年のルーズベルトダム完成後、アイオワ州のフェアポート生物学ステーションで孵化したバッファローフィッシュ(稚魚、1歳魚、成魚)420匹を鉄道でアリゾナ州のルーズベルト湖に送り、30年間商業的に漁獲されました。


次の10年間で、その地域にはいくつかのダムが建設され、バッファローフィッシュはアリゾナ州のアパッチ湖にも進出し、最近までほぼ放置されていました。バッファローフィッシュは竿と糸での釣りが非常に困難とされ、アパッチ湖は急峻な地形に原始的な道路があり、アクセスが難しい地域にあります。
その後、レクリエーション釣り人たちはアパッチ湖でバッファローフィッシュの釣り方を見つけ出しました。彼らは小さなマイクロバーブフックを使用し、しばしば疑似餌のコーンで包んだ餌(通常はオートミールやパン粉、クラドセラン、キロノミド、食用油の塊)を使います。岸から約10〜100メートルの場所に投げ、餌の塊がバッファローフィッシュを引き寄せる餌の雲を作り出します。竿にはアラームが付いていて、魚がかかったことを釣り人に知らせます。


釣り人がバッファローフィッシュを釣り始めて、彼らは魚の側面にある黒とオレンジの斑点に興味を持つ様になりました。この斑点を調べているうちに、彼らはラックマン博士らによる2019年の研究を見つけました。この研究は、ビッグマウス・バッファローが112歳まで生きることができることを明らかにしたものです。これは以前の26歳という推定よりもはるかに長寿です。新しい年齢推定は、魚の耳石(オトリス)の研究に基づいています。オトリスは毎年新しい骨の層を獲得し、薄切りにされると、木の年輪を数えるように経験豊富な人がその輪を数えれば魚の年齢を特定できます。釣り人はラックマン博士と彼の研究室をアパッチ湖に招き、魚を捕まえて研究するようになり、有益な市民科学のコラボレーションが始まりました。


ラックマン博士のチームはアパッチ湖に2回訪れ、その時の遠征で釣り人が捕獲した23匹の魚が寄付されました。魚は計量され、写真撮影され、その耳石が年齢を特定するために調べられました。釣り人たちはまた、すべてのバッファローフィッシュの捕獲を記録し、魚を釣り上げた後、計量してから放す前に写真撮影し、2018年から2023年にかけて199匹の魚を記録しました。


この共同チームは、222匹の魚の捕獲データベースを作成しました。捕獲された魚のうち、1匹を除き、すべてがこのコラボレーションのきっかけとなった黒またはオレンジの斑点を持っていました。画像分析を使用して、研究者は個々の魚を識別し、再捕獲(31匹の個体が2回から6回再捕獲された)を記録し、時間の経過とともに魚のサイズの変化を記録しました。


寄付された23匹の魚の年齢分析によると、11歳の1匹を除き、他のすべての魚は85歳から108歳の間であり、非常に長寿な個体群であることを示しています。アパッチ湖にいるほとんどの魚は、おそらく第一次世界大戦中にアイオワの孵化場で孵化されたものと推定され、多くは1世紀以上生きています。捕獲された魚は成熟しており産卵可能であるように見えますが、若い魚が1匹しか捕獲されなかったことから、バッファローフィッシュが頻繁に産卵していない可能性があり、さらなる調査が必要です。
バッファローフィッシュの遺伝学と生理学を研究することで、長寿について学ぶことができます。これまでのところ、科学者たちはバッファローフィッシュにおける重要な生理学的違い、特に100歳での生理学的改善と顕著な老化現象の欠如を特定しています。


他の種も研究されています。例えば、200歳以上生きることができる海洋岩魚は、長寿に関連する遺伝子を調査するために研究されています。2021年の岩魚の研究では、DNA修復遺伝子のポジティブ選択の証拠と、インスリン調節遺伝子の違いに関連する寿命変動が見つかりました。
アパッチ湖の長寿バッファローフィッシュ個体群を保全し研究することは、動物系統が非常に長い寿命を進化させる方法、およびそれを可能にする生理学的および遺伝学的メカニズムについての重要な手がかりを提供するかもしれません。


by Science Writer Kim Woolcock(キム・ウールコック)


[Scientific Reports article]

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