再発見!地中海の代表種ホシガメのゲノムを初解読
スペインのミゲル・エルナンデス大学(UMH)とアリカンテ大学(UA)の生態学部の研究者らが、地中海地域で象徴的な陸生カメ「ホシガメ(学名: Testudo graeca)」のゲノムを初めて解読しました。この研究成果は、2024年8月9日に学術誌PLoS Oneで発表されました。論文のタイトルは「Taking Advantage of Reference-Guided Assembly in a Slowly-Evolving Lineage: Application to Testudo graeca(参照ゲノムを活用した組み立て法の応用:ホシガメの場合)」です。
研究の背景
ホシガメは地中海沿岸で最も特徴的な陸生カメの一種で、イベリア半島では主に南東部(アルメリア北部からムルシア南部)とドニャーナ国立公園内に生息しています。しかし、アンダルシア地方では絶滅危惧種に指定されており、ムルシア州およびスペイン環境省の「絶滅危惧種カタログ」に登録されています。
「ホシガメのような動物の遺伝的多様性を理解することは、気候変動や環境適応能力を把握し、保全に役立てるために非常に重要です」と、UMHの研究者で本研究の主著者であるアンドレア・ミラ・ホベル氏(Andrea Mira Jover)は説明しています。
ゲノム解析の重要性
ゲノム解析とは、生物種の全遺伝情報を読み取り、特定の遺伝子を特定し、染色体として構成することです。本研究では、約22億塩基対からなるホシガメのゲノムを解析し、約26,000の遺伝子を特定しました。これは他の手法による先行研究とも一致する進化パターンを示しています。
「この研究成果は、ホシガメの進化の歴史やその長寿の秘密など、今後の研究で解明するための出発点となります」と、UAの生態学部研究者で共同著者のロベルト・ロドリゲス=カロ博士(Roberto Rodríguez-Caro, PhD)は述べています。
保全への応用
ホシガメは国際自然保護連合(IUCN)によって脆弱種に指定されており、保全には具体的な対策が必要です。本研究で得られた参照ゲノムは、地球規模での保全活動における貴重なツールとなります。
また、UMHの研究者エバ・グラシア氏(Eva Graciá)によると、「カメ類は進化が非常に遅い動物で、そのゲノムの構造は非常に保存されています。ホシガメの参照ゲノムの公開は、この分野における貴重なリソースの追加を意味します」と語っています。
技術的進展
研究チームは、近縁種である「シナロアンソーンクラブカメ」のゲノムを参照にして、短鎖読み取り技術を活用しました。この手法は「参照ゲノム組み立て法」と呼ばれ、進化が遅い種に特に有用です。
本研究には、ドイツのドレスデン動物学博物館やフランスの開発研究所の研究者らも参加しました。



