新型コロナウイルス感染症から回復した後も、強い倦怠感や集中力の低下といった症状が何ヶ月も、時には何年も続く「Long COVID(ロングコビッド、コロナ後遺症)」。こうした患者さんに、いったいどのようなケアが本当に効果があるのでしょうか。英国で行われた、これまでで最大規模となる臨床試験の結果が、科学誌「Nature Medicine」に発表されました。

英国ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL: University College London)のアミタバ・バナジー教授(Amitava Banerjee)や、メリッサ・ハイトマン博士(Melissa Heightman)らの研究チームは、「「Long COVID患者における統合ケアパスウェイ:クラスターランダム化第3相試験STIMULATE-ICP(Integrated care pathway in individuals with Long COVID: STIMULATE-ICP, a cluster-randomized, phase 3 trial)」」と題した論文を発表しました。

この試験「STIMULATE-ICP」は、イングランド国内の医療制度NHS(National Health Service)傘下にある6つのLong COVID専門クリニックで実施され、1,152人の成人患者さんが参加しました。参加者は平均して394日間、9つ程度の症状を抱えたまま生活しており、強い倦怠感を訴えている方が中心でした。試験では参加者を「複数臓器MRI(multi-organ MRI)検査あり/なし」「デジタルリハビリプログラム『Living with COVID Recovery』あり/なし」の組み合わせで4つのグループに分け、12週間後の疲労度を比較しました。

その結果、複数臓器MRIを追加しても、疲労度や生活の質(QOL)に明確な上乗せ効果は見られませんでした。一方、デジタルリハビリプログラムは、24週間という長い時間軸で見ると、疲労度とQOLにわずかながら統計的に意味のある改善をもたらすことが分かりました。もっとも注目すべき発見は、MRIやデジタルリハビリの有無にかかわらず、専門クリニックでの多職種によるケアを受けた参加者のおよそ6割が、12週間の時点で臨床的に意味のある疲労の改善を経験していたという点です。安全性の面でも、治療に関連した重篤な有害事象は確認されませんでした。

バナジー教授は、この結果について「専門的で多職種による標準的なLong COVIDケアそのものが、患者さんの疲労に本当の違いをもたらし得る」と述べています。研究チームは、今回の結果がLong COVIDケアに関する大規模なNHS試験の実施可能性を示すと同時に、今後のサービス設計に指針を与えるものだとしています。

 [Nature Medicine誌記事] [UCLHプレスリリース]

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