海綿から発見された結核菌に酷似した細菌が新たな結核研究の扉を開く

オーストラリアのグレートバリアリーフで採取された海綿から発見された新種の細菌「マイコバクテリウム・スポンジアイ」が、結核の病原菌である結核菌に驚くほど似ていることが明らかになりました。この発見は、結核研究や治療戦略の新たな指針となる可能性を秘めています。世界で最も致死率の高い感染症の一つである結核ですが、その原因菌である結核菌の起源は未だ完全には解明されていません。
この研究結果は、2024年8月29日にオープンアクセス誌PLOS Pathogensに掲載され、「Marine Sponge Microbe Provides Insights into Evolution and Virulence of the Tubercle Bacillus(海綿微生物が結核菌の進化と病原性に関する洞察を提供)」と題された論文で発表されました。


発見の背景と詳細

海綿は「化学工場」とも呼ばれ、抗がん、抗菌、抗ウイルス、抗炎症効果を持つバイオアクティブ化合物の重要な供給源として知られています。クイーンズランド大学の研究者らが化学物質を生産する細菌を調査していた際、この奇妙な細菌が発見されました。このサンプルはピーター・ドハーティ感染症免疫研究所に送られ、遺伝子、タンパク質、脂質の詳細な分析が行われました。
その結果、「M. spongiae」は結核菌と80%もの遺伝情報を共有しており、病原性に関わる主要な遺伝子も含まれていることが判明しました。しかし、結核菌とは異なり、M. spongiaeはマウスに病原性を示さず、非病原性であることが確認されました。

研究者のコメント

この研究の共同筆頭著者であるメルボルン大学のサシャ・ピドット博士(Sacha Pidot, PhD)は、次のように述べています。
「この細菌が結核菌と非常に近縁であることに驚きました。この発見は、結核菌が海洋性マイコバクテリアに由来する可能性を示唆しています。」


また、同じくメルボルン大学のティム・スティネア教授(Professor Tim Stinear)は、この発見の意義について次のように述べています。
「まだ研究の余地はありますが、この発見は結核が深刻な疾患となった過程を理解するための重要な一歩です。我々の成果は、結核菌の弱点を見つけ、新しいワクチン開発や予防戦略に役立つ可能性があります。」
本研究には、Bio21 Institute、クイーンズランド大学、パスツール研究所、英国保健安全保障局、オタゴ大学、WEHIの研究者らも参加しました。


画像:結核菌

[News release] [PLOS Pathogens article]

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