創薬開発において有望な中分子有機化合物は以前にも紹介しましたが、下記の図の様に2011年のJACSにAroraらが紹介したサイクリックペプタイド、ペプチドミメティックや天然物ライク化合物と考えられます。  

これらの中分子有機化合物は合成品としては殆ど存在しておらず、天然物の中に多く含まれており、微生物、植物や昆虫などの生命機能などにかかわっている化合物が多いと考えられています。  しかしながら、これまでも何回か述べてきましたが、今までの天然物の創薬探索においては低分子有機化合物のスクリーニングが主流で、中分子有機化合物はいらないとされ、分子量1000以上の化合物は排除されてきたために現存する中分子有機化合物のライブラリーで公開されているものはありません。  

多分今存在する中分子有機化合物のライブラリーはペプチドリーム社のものだけではないでしょうか。それは、2016年ごろから合成でサイクリックペプタイドのライブラリーを作ることが考えられ、その先駆けがサイクリックペプタイドのライブラリーを構築したペプチドリーム社です。ペプチドリーム社はサイクリックペプタイドのライブラリーを売っているのではなく、自社のサイクリックペプタイドのライブラリーを用いた中分子有機化合物スクリーニングの受託を行っています。 それでは、ペプチドリーム社のサイクリックペプタイド合成の概要を少しお話ししますので、下記の図を参照してください。

ペプチドリーム社は400種の異常アミノ酸を合成し、それぞれのアミノ酸には固有のDNAタグをつけておきます。そして、このアミノ酸を元に自動でアミノ酸6~8個のサイクリックペプタイドを作成します。出来たサイクリックペプタイドはDNAタグの配列を調べれば、サイクリックペプタイドのアミノ酸配列がわかることになります。これによりアミノ酸400種でアミノ酸6個のサイクリックペプタイドは400の6乗個出来ることになります。

中分子有機化合物はこれからの創薬開発において非常に有望と考えられていますが、今回述べてきたように中分子有機化合物のライブラリーが殆どないので、自分のところで天然物を用いた中分子有機化合物のスクリーニングをおこなうか、あるいはペプチドリーム社にスクリーニング依頼をすることになります。 以上が中分子有機化合物のライブラリーの現状ですが、ここで「中分子創薬の詳細を話す前に、なぜ先に中分子有機化合物ライブラリーが無い現状を話なすのか?」と思われる方もいると思います。それは、これから中分子創薬いろいろな手法の詳細を説明しますが、各中分子創薬の手法の中で、それを行うにあたって最適な中分子有機化合物は何かを読者各自が自分で考えて欲しいと私が考えたからです。 それでは、次回は中分子創薬の天然物スクリーニングを効率良く行う方法を述べたいと思います。

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