Purdueの研究者と共同研究者のグループが、トウモロコシの天然プロビタミンA含有量を増やす遺伝子のグループを突き止めた。この発見は発展途上国のビタミンA不足や高齢者の黄斑変性症の治療に貢献するかもしれない。PurdueのTorbert Rocheford農学教授と同僚研究者が発見した遺伝子変異は、これを選別することで栄養に乏しいホワイト・コーンからプロビタミンAカロチノイドを多量に含む天然栄養強化されたオレンジ・コーンを作り出すことができる。
このプロビタミンAカロチノイドは人体内でビタミンAに変えられる。ビタミンAは眼の健康、免疫系の他特定のホルモンの合成に不可欠な栄養であり、PurdueでPatterson Endowed Chair of Translational Genomics for Crop Improvementを務めるDr. Rochefordは、「この研究で、ホワイトまたはイエロー・タイプのトウモロコシを迅速安価にカロチノイドの豊富なオレンジ・コーンに作り替える遺伝的な方法が見つかった。しかも遺伝子導入などの手段を使わず、自然の植物交配で可能だ」と述べている。この研究論文は、2014年9月25日付Geneticsオンライン版に掲載された。
世界保健機関によれば、ビタミンA不足のために毎年世界中で25万人から50万人の子供が失明し、しかもその半数が失明から1年以内に死亡している。
この健康問題でもっとも被害の大きいのはサブサハラ・アフリカ地域で、この地域ではプロビタミンAカロチノイドをほとんど含まないホワイト・コーンが主食になっている。
カロチノイド不足は高齢者の黄斑変性症の病因であり、ヨーロッパやアメリカでは高齢者の失明の最大原因になっている。トウモロコシのカロチノイド含有量を決める遺伝子を突き止めることで、種苗業者がアフリカやアメリカ向けに天然カロチノイド強化種トウモロコシを開発することが可能になる。
Dr. Rochefordは、「アフリカ諸地域ではイエロー・コーンが一般的に動物の餌とされているが、色の濃いオレンジ・コーンなら地域の食文化にとっても人間の食用として受け入れられる可能性がある」とのべている。
Dr. Rochefordと同僚研究グループは、以前の研究でトウモロコシのプロビタミンAカロチノイド含有量を決める2種の遺伝子を初めて突き止めていたが、「種苗業者の選択肢を増やすために研究を続けていた」と述べている。
研究グループは、統計分析と予測モデルを組み合わせ、トウモロコシのカロチノイド含有量と関連する遺伝子の有用性を判定評価した。そのために約200種の異なる遺伝系統のトウモロコシをゲノム全体や遺伝子の小さな組み合わせを含むDNAの小部分など様々な方向から調べ、そのデータ・グループを評価した。
その結果、これまでトウモロコシのカロチノイド含有量との関連を知られていないかった遺伝子を4種類発見した。
トウモロコシのカロチノイド含有量に関わる遺伝子はいくつもあると想像されるが、Dr. Rochefordは、「以前の研究と今回の研究で突き止めた遺伝子がカロチノイド含有量を決める主な遺伝子であることは確かだ」と述べている。また、濃いオレンジ色のトウモロコシを目視で選択する方法と、これまでに発見した有望な遺伝子を利用する方法の双方を組み合わせ、ホワイト・コーン、イエロー・コーンを迅速効果的にプロビタミンA含有量やカロチノイド総量の大きいオレンジ・コーンに作り替えられることも研究で確認した。
Dr. Rochefordは、「サブサハラ・アフリカ一帯の農民にプロビタミンA含有量の大きいオレンジ・コーンを提供する大規模な政府民間合同研究を展開するのに必要な遺伝学的資料はすべて揃った」と述べている。博士号候補生で研究論文の第一著者を務めているBrenda Owensは、「この研究で、対象を絞って遺伝子小グループの有用性を予測する手法が、トウモロコシのゲノム全体を評価する手法と同じくらいの効果があることも突き止めた。
トウモロコシのカロチノイド含有量を向上するために選択する遺伝子のリストを小さくすれば、種苗業者にとっても品種改良の作業が簡単で迅速になる」と述べている。HarvestPlus、International Maize and Wheat Improvement Center (CIMMYT) との共同で行われたこの研究では、プロビタミンAカロチノイドをかなり多量に含んだオレンジ・コーンの品種をいくつか作り出すことができた。
Dr. Rochefordは、「しかし、収穫してからの栄養素の喪失を補い、アフリカの住民が十分なプロビタミンAを摂取するために必要なトウモロコシの食事量を減らすためにはさらに含有量を高める努力をしなければならない」と述べている。現在、オレンジ・コーンの品種はザンビア、ジンバブエ、ナイジェリア、ガーナで栽培されている。
Dr. Rochefordは、「2016年までには自然受粉のオレンジ・コーンを有機農家、アメリカ国内農家向けに出荷することができると思う」と述べている。
写真は天然プロビタミンAカロチノイドを多量に含むオレンジ・コーン。(Credit: Purdue Agricultural Communication photo/Natalie van Hoose)。
天然栄養強化オレンジ・コーン研究と今後の見通しを語るDr. Rochefordのプレゼンテーション・ビデオは次のウエブサイトで閲覧可能
■原著へのリンクは英語版をご覧ください: Natural Gene Selection Can Produce Orange Corn Rich in Provitamin A



