錠剤を呑むだけでアイスクリーム、クッキー、ケーキをどんなに食べても全然太らなくなる。そんな薬があればいいと思う人もいるかもしれない。University of Southern California (USC) の新しい研究によれば、それがいつか夢でなくなる日が来るかもしれない。
USC Davis School of GerontologyとKeck School of Medicine of USCとに所属するDr. Sean Curranの率いる研究チームは、高糖質食につきものの肥満を抑える新手段を発見した。これは単一の主要遺伝子が関わっており、製薬会社がすでにこの遺伝子を標的にする医薬の開発を進めている。これまでDr. Curranの研究はCaenorhabditis elegans (C. elegans、線虫の一種) (画像) とペトリ皿の人体細胞のみを対象にしていた。しかし、博士が研究してきた遺伝子経路はイースト菌から人類までほとんどすべての動物に共通してみられるものである。博士は、今後これまでの研究成果をマウスを使って試験することを考えている。Dr. Curranの研究は、2014年10月6日付Nature Communicationsのオープン・アクセス論文としてオンラインで公開されている。
過去に博士と同僚研究者がC. elegansを用いて行った研究では、特定の遺伝子の突然変異、特に活動過多なSKN-1遺伝子の突然変異を持つ個体は信じられないほどのレベルの高糖質食を与えても体重が増えず、一方、通常遺伝子のC. elegansは同じ高糖質食で体が膨れあがってしまった。
Dr. Curranは、「このバクテリア (原文ママ、正しくは線虫) が食べた高糖質食は、人間でいえば西洋型の食事だ」として、バーガー、フライ類、炭酸飲料水などの高脂肪、高糖質を特徴とする西洋諸国で好まれる食品に言及している。
さらに、「SKN-1遺伝子は人間にもあり、Nrf2と呼ばれている。
この研究成果は人間にも適用できる可能性がある」と述べている。Nrf2タンパク質は、「転写調節因子」と呼ばれ、DNAシーケンスの特定位置に結合し、細胞が化学的に活性化した酸素したり (細胞にとってはもっとも一般的な危険) に触れた場合に解毒したり、あるいは損傷を修復したりする細胞の機能を司っている。
すでに複数の製薬会社が、抗酸化物質や老化抑制物質を作り出すため、Nrf2を標的とする小分子薬剤の開発に着手している。
博士は、「食品に対する体の反応をコントロールするための医薬品の可能性は魅力があるが、リスクがないわけではない」と述べている。Nrf2機能の増大は侵襲性の強いがんとの関連が突き止められている。
Dr. Curranは、「使うタイミングと場所ということになろう。必要な時に特定の組織でNrf2を活性化できれば、その効能を十分に活かすことができるだろう」と述べている。
この研究は、論文の責任著者、Dr. Curranが、USC DavisのDr. Shanshan Pang、Dr. Jennifer Paek、USC DavisとUSC Dornsife College of Letters, Arts and Sciences のDana Lynn、Jacqueline Loと共同で行った。また、この研究は、National Institutes of Health、Ellison Medical FoundationおよびAmerican Federation of Aging Researchからの助成金を得て行われた。
■原著へのリンクは英語版をご覧ください: High-Sugar Diet No Problem for Worms with Mutant SKN-1 Gene



