American Cancer Society は、2014年12月31日付のプレスリリースで、「年次がん統計報告書で、アメリカ国内ではがん死亡率が過去20年で22%低下していたことが明らかになった。がん死亡率が過去のピークから大幅に低下した結果、延命したがん患者は20年間の総数で150万人を超える」と発表している。また、米国内全州でがん死亡率が低下しているが、州によって低下率にかなりの差があることも明らかになっており、大まかにいえば南部諸州では低下率が小さく、北東部諸州でもっとも大きい。
毎年、American Cancer Societyは、National Cancer Institute、Centers for Disease Control and Preventionのがん症例データとNational Center for Health Statisticsの死亡率データを基礎にしてがん症例、死亡率、生存率など最新のデータを編纂し、報告書を発表している。このデータは、2015年1月5日付で、CA: A Cancer Journal for Cliniciansのオンライン版で公開されるCancer Statistics 2015と、利用者に便利なコンパニオン版で同日発行のCancer Facts & Figures 2015の2つの報告書で公開されている。この報告書は、毎年のアメリカ国内におけるがんの新症例数や死亡者数などの推定も記載している。20世紀には喫煙率が高まったことから特に男性の間で肺がんが急増し、それに伴い、総合がん死亡率も上昇、1991年にピークに達したが、その後は、喫煙率低下、がん予防、早期発見、治療法の進歩などがあり、がん死亡率も着実に下がってきた。
最新データの2007年から2011年にかけての5年間で、男性のがん死亡率の年間平均減少率は1.8%で、女性の1.4%よりやや大きかった。このがん死亡率低下は、肺がん、乳がん、前立腺がん、大腸がんという四大がんでいずれも死亡率が下がったことが大きく影響している。喫煙率低下に伴って肺がん死亡者の占める割合も下がり、男性では1990年から2011年にかけて36%下がり、女性では2002年から2011年にかけて11%下がっている。女性の間の乳がん死亡率はピーク時から35%も下がっており、前立腺がん、大腸がん死亡率はいずれも47%とおよそ半減している。
1991年から2011年にかけての総合的ながん死亡減少率は州によって異なっており、減少率がもっとも小さいのは一般的に南部諸州で約15%にとどまっている。一方、減少率がもっとも大きいのは北東部諸州で、メリーランド、ニュージャージー、マサチューセッツ、ニューヨーク、デラウエアなどの州では25%から30%の減少となっている。
その結果、2011年には北東部諸州で29,000人をがん死亡から救うことができた。
同報告書は、2015年の新がん発症者数を1,658,370人、がん死亡者数を589,430人と推定しており、このがん死亡者数は毎日約1,600人ががんで死亡していることに相当する。
男性の場合、前立腺がん、肺がん、大腸がんだけでがん患者数の約半数を占めており、新がん患者の約4分の1が前立腺がんである。また、女性の場合、2015年に新しくがんと診断されると推定されているのはもっとも多いタイプから乳がん、肺がん、大腸がんでこの3種類のがんだけで女性のがん症例の半分を占めている。
また、アメリカ国内の新がん症例の29%が乳がんと予測されている。
また、がん死のタイプ別では男性は肺がん、前立腺がん、大腸がんが多く、女性では肺がん、乳がん、大腸がんとなっている。この4タイプのがんだけでがん死全体の半分近くを占めており、また27%が肺がんである。最新データのある2007年から2011年にかけての5年間、全がん発症率は女性はほぼ一定しており、男性は年間1.8%の減少だった。この男性のがん発症率減少は、年間率で大腸がんが3.6%、肺がんが3.0%、前立腺がんが2.1%とそれぞれ大きく減少していることによるもの。
アメリカ国内では、女性の大腸がんと肺がんの発症率は同じように下がったが、乳がん発症率は平坦化しており、甲状腺がんは逆に2007年から2011年までの5年間に年平均4.5%と急増している。
American Cancer SocietyのChief Executive Officer、John R. Seffrin, Ph.D.は、「がん死亡率が下がり続けていることは喜ばしいことだが、それにとどまってはならないと思う。
アメリカでは2011年の全死因のうち4分の1近くががんで、この疾患が死因では第2位を占めており、40歳から79歳の高齢者層では最大の死因になっている。また、今後数年で国内の全年齢層で死因としては心疾患を追い越して第1位になると予想されている。このような変化は避けられないことだとしても、できるだけ多くの国民ががん予防、早期発見、治療などで最高の医療を受けられるように図り、がん死亡を減らすことは可能だと思う」と述べている。
毎年、Cancer Facts & Figuresは、その時々のがんに関する話題に合わせたSpecial Sectionを組んでおり、今年の報告書では非浸潤性乳がんを取り上げている。
2015年の推定では60,290人が新しく非浸潤性乳がんと診断され、乳がん患者全体の5分の1を占める。非浸潤性乳がんは比較的多いタイプだが、浸潤性乳がんほどには知られておらず、また理解も欠けている。「非浸潤性がん」という言葉は、周辺組織に浸潤していない異常細胞を意味するが、顕微鏡で見た限りでは浸潤性がんとよく似ている。
長年、非浸潤性がん細胞も浸潤性がんになる可能性があり、治療しないでおくと発達してがん化するものと考えられていた。最近の研究で、正常細胞が非浸潤性がん細胞になり、さらに浸潤性がん細胞になる変化過程は、顕微鏡観察に基づく昔の理解よりはるかに複雑微妙な分子レベルの変化が起きていると考えられるようになった。
非浸潤性がん患者の長期的なフォローアップ研究では、治療しなくてもすべての患者が浸潤性がんを発症するわけではないことが突き止められている。
非浸潤性乳がんの大部分、83%が非浸潤性乳管がん (DCIS) だが、このDCISとは乳管内壁の異常細胞を意味し、見かけは浸潤性乳がん細胞と似ているがあくまでも発症組織層にとどまっている。また、この疾患は乳房撮影検査で発見されることが多い。
DCISそのものは他の器官に広がったり重病や死亡に至ることはないが、もし治療しないでおくと発達して浸潤性がんになる可能性もあり、正真のがん前駆病変と考えられている。最初に良性と診断されたために治療を受けなかったDCIS患者女性を対象に実施した研究では最終的に20%から53%が浸潤性乳がんと診断されている。
上皮内小葉がん (LCIS) とは、乳房の乳汁を作る腺の上皮壁内にできるがん細胞様の細胞を意味している。LCISは一般には浸潤性がんの前駆病変ではないが浸潤性乳がん発症リスク増加のマーカーと考えられている。
著者らは、Special Sectionの情報が新しくDCISやLCISと診断された女性や長年これらの疾患を抱えている女性、またその女性患者の友人、家族、あるいは女性患者を支援し、相談相手になる人々の役に立つことを願っていると記している。
■原著へのリンクは英語版をご覧ください: Cancer Mortality Drops 22% in USA Over Two Decades; Largest Declines Seen in Northeast, Smallest in South



