α-グルコシダーゼ阻害剤としての新しいクマリン結合2-フェニルベンゾイミダゾール誘導体の設計、合成、および評価に成功した研究が、2024年3月28日に「Nature Scientific Reports」に掲載されました。この研究は、糖尿病治療薬としての可能性を示すものであり、特に2型糖尿病の管理において重要な役割を果たします。

論文「Coumarin Linked to 2-Phenylbenzimidazole Derivatives As Potent α-Glucosidase Inhibitors(強力なα-グルコシダーゼ阻害剤としてのクマリン結合2-フェニルベンゾイミダゾール誘導体)」では、新規α-グルコシダーゼ阻害剤の設計、合成、および評価が報告されています。α-グルコシダーゼ阻害剤は、2型糖尿病の管理に使用される薬剤であり、腸内の細胞に存在するα-グルコシダーゼ酵素を阻害することで、複合炭水化物を単糖に分解する過程を遅らせ、食後の血糖値上昇を抑える効果があります。

クマリンは自然界に存在する化合物で、抗酸化、抗炎症、抗菌、抗がん作用などの有望な薬理学的特性を持つため、新薬開発において魅力的な薬効団です。一方、ベンゾイミダゾールは多様な生物活性を示し、抗菌、抗がん、抗炎症、抗酸化作用などの薬理学的特性を持つことから、医療化学において注目されています。

この研究では、クマリンと2-フェニルベンゾイミダゾール(ベンゾイミダゾールの誘導体)をカルボキシレートリンカーで結合させた新規α-グルコシダーゼ阻害剤の一連を設計しました。最適なα-グルコシダーゼ阻害活性を得るために、R位置に異なる部分を置換した13種類の化合物を設計・合成しました。これらの誘導体の化学構造は、1H-NMR、13C-NMR、およびFTIR(フーリエ変換赤外分光法)などのさまざまな分析技術を使用して特定されました。

合成された化合物の効力は、α-グルコシダーゼに対してin vitroで評価され、陽性対照として使用されたアカルボースと比較されました。これらの化合物のα-グルコシダーゼ阻害活性は、IC50値(半数阻害濃度)が10.8 + 0.1 µMから119.5 + 0.1 µMの範囲であり、アカルボース(IC50 = 750 µM)よりもはるかに高いことが示されました。これは、設計された化合物がアカルボースよりも高い効果を持つことを示唆しています。

酵素動態学の研究では、これらの化合物が酵素の活性部位に結合し、基質と活性部位への結合を競合することが示されました。さらに、新たに開発されたホモロジーモデリングに基づく構造を使用して分子ドッキング研究が行われました。新規化合物の結合エネルギーとアカルボースの結合エネルギーを比較した結果、クマリン-ベンゾイミダゾール誘導体が標準的な阻害剤よりも酵素の活性部位に容易に結合できることが示されました。

これらの結果に基づいて、クマリン-ベンゾイミダゾール誘導体は、新規α-グルコシダーゼ阻害剤の設計における有望な基盤となることが示唆され、2型糖尿病の管理において重要な役割を果たす可能性があります。

参考文献

Ganjeh, M.S., Mazlomifar, A., Shahvelayti, A.S. et al. Coumarin Linked to 2-Phenylbenzimidazole Derivatives As Potent α-Glucosidase Inhibitors. Sci Rep 14, 7408 (2024)

[Scientific Reports article]

Akmal M, Wadhwa R. Alpha Glucosidase Inhibitors. [Updated 2022 Aug 12]. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls Publishing; 2024 Jan.

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