CRISPR技術でレタスの栄養価が劇的アップ!β-カロテン2.7倍、ゼアキサンチンも増強

CRISPR技術でレタスの栄養価が劇的アップ!β-カロテン2.7倍、ゼアキサンチンも増強

サイエンス出版部 発行書籍

いつものレタスが、まるでスーパーフードに変身?そんな夢のような話が、遺伝子編集技術の力で現実になるかもしれません。ヘブライ大学エルサレム校の研究チームが、人気の野菜レタスの栄養価を劇的に向上させることに成功しました。彼らは、最先端のCRISPR遺伝子編集技術を駆使し、レタスが本来持つ遺伝子をわずかに調整するだけで、視力や免疫に重要なβ-カロテン(プロビタミンA: provitamin A)を2.7倍、目の健康を守るゼアキサンチンを大幅に、そして美肌や風邪予防に欠かせないアスコルビン酸(ビタミンC)をなんと6.9倍にも増やすことに成功したのです。しかも、見た目や味、育ち方は従来のレタスと変わらないというから驚きです。この「次世代レタス」は、世界中で問題となっている「隠れ飢餓」と呼ばれる微量栄養素の不足を解消する切り札となるかもしれません。 2025年3月3日に「Plant Biotechnology Journal article」誌に掲載されたこの研究は、アレクサンダー・ヴァインシュタイン教授(Alexander Vainstein)が主導し、単一の栄養素ではなく複数の栄養価を同時に高めるという画期的なアプローチで達成されました。論文タイトルは「Combined Enhancement of Ascorbic Acid, β-carotene and Zeaxanthin in Gene-Edited Lettuce(遺伝子編集レタスにおけるアスコルビン酸、β-カロテン、ゼアキサンチンの複合的増強)」です。 CRISPRは、DNAを編集するための強力かつ精密なツールです。外来DNAを導入する従来の遺伝子組換え(GMO: genetic modification)技術とは異なり、CRISPRは科学者が植物自身の遺伝コード内で標的を定めた変更を行うことを可能にします。こ

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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