細胞の宅配便を追跡!難病・多発性嚢胞腎(PKD)治療への新たな道

細胞の宅配便を追跡!難病・多発性嚢胞腎(PKD)治療への新たな道

サイエンス出版部 発行書籍

私たちの細胞は、まるで宅配便のように、目に見えないほど小さなカプセルを使って互いにメッセージや物質を送り合っています。この小さなカプセルが、腎臓にたくさんの袋(嚢胞)ができて機能が損なわれてしまう遺伝性の難病、「多発性嚢胞腎」の進行に深く関わっていることが分かってきました。ラトガース大学の研究チームは、この“細胞の宅配便”の中身と行き先を追跡する画期的な「目印」を開発し、病気の謎を解き明かす重要な手がかりを発見しました。ラトガース大学が主導した革新的な細胞追跡ツールの発見は、一般的な遺伝性腎疾患である常染色体優性多発性嚢胞腎に対する新しい治療法を生み出す可能性があります。 多発性嚢胞腎は、老廃物を除去する臓器である腎臓が嚢胞によって破壊される一般的な遺伝性疾患で、現在のところ透析や移植が唯一の治療法となっています。世界中で1,240万人以上が、この病気の優性遺伝型(AD-PKD)に苦しんでいます。この度、ラトガース大学の遺伝学者たちが、この病気がどのように進行するのかについての新たな詳細を解明し、新しい治療法への扉を開く可能性のある発見をしました。 2025年4月3日に学術誌「Nature Communications」で発表された研究で、ラトガース大学芸術科学部遺伝学科の研究助教であるインナ・ニコンノロワ氏(Inna Nikonorova)と共同研究者たちは、細胞外小胞によって運ばれる物質を特定し追跡する新しい方法について報告しました。EVは細胞から放出される微小なコミュニケーションツールで、癌や神経変性疾患、そしてPKDのような腎疾患の発症において重要な役割を果たしています。このオープンアクセスの論文は、「ポリシスチンは線虫において繊毛の細胞外小胞の特定のサブタイプに積み荷を動員する(Polycystins Recruit Cargo to Distinct

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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