ロックフェラー大学の研究者らは、染色体末端を保護するテロメアの長さを調節するメカニズムに新たな知見を提供しました。テロメアの長さは短すぎると保護能力を失い、過剰に長いとがんのリスクが高まるため、厳密に調節される必要があります。これまでの研究で、テロメアの維持にはテロメラーゼとCST–Polα/プライマーゼ複合体という2つの酵素が重要であることが示されていました。
今回、2024年6月4日付のCell誌に発表された新しい研究では、CSTのテロメアへの結合がPOT1というテロメア維持に関与するシェルタリン複合体のタンパク質によって調節されていることが明らかになりました。論文タイトルは「POT1 Recruits and Regulates CST-Polα/Primase at Human Telomeres(POT1はヒトテロメアにおいてCST-Polα/プライマーゼをリクルートし調節する)」です。
研究内容の詳細
テロメアはGリッチとCリッチの2種類の鎖を持ち、テロメラーゼがGリッチ鎖の長さを維持するメカニズムは長らく知られていましたが、Cリッチ鎖にも同様の問題があることが最近になって認識されました。今回の研究では、Cリッチ鎖の維持にCST–Polα/プライマーゼ複合体が重要であることが確認されました。
ロックフェラー大学の博士課程学生、サラ・カイ(Sarah Cai)氏は、シェルタリン複合体のPOT1タンパク質がCSTをテロメアにリクルートする仕組みを解明しました。POT1のリン酸化と脱リン酸化がCSTの活動を調節し、テロメラーゼが機能を終えた後にCST–Polα/プライマーゼがテロメアを補完する役割を果たすことが明らかになりました。
テロメア障害とがんへの影響
研究チームは今後、POT1のリン酸化を制御する特定の酵素を特定し、CST–Polα/プライマーゼのリクルートと活性化における役割を解明する予定です。これらの発見は、テロメア障害の患者や、特に多臓器疾患であるコーツプラス症候群のような重篤な疾患の理解を深める助けとなります。また、テロメアの短縮ががん抑制とゲノム不安定性に与える影響の理解にも寄与し、将来的には腫瘍形成のメカニズム解明に役立つ可能性があります。



