細胞代謝に関する大きな知識のギャップがあります。それは、栄養素がどのようにして細胞内に輸送されるかが正確には分かっていないことです。この理解が欠けていると、代謝を駆動するタンパク質トランスポーターに関連する多くの疾患の治療法を開発することは極めて困難です。そんな中、Nature Genetics誌に掲載された新たな研究が、これらの代謝遺伝子の機能をより正確にマッピングするためのツールを紹介しています。このプラットフォームは「GeneMAP」と名付けられ、すでにミトコンドリア代謝の中心にある重要な遺伝子-代謝物の関連を特定しました。論文のタイトルは「Metabolic Gene Function Discovery Platform GeneMAP Identifies SLC25A48 As Necessary for Mitochondrial Choline Import(代謝遺伝子機能発見プラットフォームGeneMAPがミトコンドリアのコリン輸送に必要なSLC25A48を特定)」です。


GeneMAPは、ロックフェラー大学のキヴァンチ・ビルソイ博士(Kivanç Birsoy, PhD)によって開発され、オンラインポータルを通じて公開されています。


このプラットフォームは、既存の遺伝子発現モデルに基づいており、既存のデータセットを使用して代謝遺伝子の機能を特定し、生成されたタンパク質を候補の代謝物に結びつけます。これには、ゲノム全体の関連研究(GWAS: genome-wide association studies)を活用して、ヒト細胞内に存在する低分子化学物質の完全なセットが含まれています。このため、同種のツールとしては初めてのものの一つです。


ビルソイ博士のグループの大学院生であるアルテム・カーン氏(Artem Khan)がGeneMAPを試用したところ、このプラットフォームは2,000の遺伝子-代謝物関連をすぐに示し、その半数が既存の研究で裏付けられていることが分かりました。しかし、研究者たちは、まだ特定の代謝物と結びつけられていないタンパク質の機能を発見できることを期待していました。そして、その期待に応えるように、GeneMAPはSLC25A48という遺伝子と、ミトコンドリアが必須代謝物であるコリンを輸送する能力との関連を特定しました。その後、ビルソイ博士の研究室はヴァンダービルト大学のエリック・ガマゾン博士(Eric Gamazon, PhD)の研究室と協力して、SLC25A48の欠損がコリンの含有量を約50分の1に減少させることを実証し、これが新たなミトコンドリアトランスポータータンパク質である可能性が高いことを示しました。


この発見は、GeneMAPが代謝遺伝子の機能を発見するための主要なツールとなる可能性を示しており、代謝に対する理解を深めるだけでなく、臨床的な影響を持つ結果をもたらす可能性も示唆しています。ビルソイ博士の研究室の過去の研究では、同様の手法を用いて、視覚障害、筋力低下、空間認識の困難を引き起こす病気に関与するトランスポータータンパク質に代謝物を結びつけることができました。
「多くの栄養トランスポーターは神経変性疾患と関連しています」とビルソイ博士は述べています。「トランスポーターを特定するほど、より多くの治療法が見つかる可能性があります。」

写真:キヴァンチ・ビルソイ博士(Kivanç Birsoy, PhD)

[News release] [Nature Genetics abstract]

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