大腸菌のゲノム安定性を守る鍵、RapAの新たな役割を解明

サイエンス出版部 発行書籍
遺伝的な観点から見ると、これはバクテリアにとって最悪のシナリオです。転写の過程で、新しく合成されたRNAがDNAの鋳型にくっつき、「Rループ(R-loop)」と呼ばれる三本鎖構造を形成します。これらの構造は細胞内で重要な役割を果たす一方で、不適切な場所やタイミングで生じると、DNAの切断、突然変異、そして細胞死を引き起こす原因にもなり得ます。 このたび『Nature Structural & Molecular Biology』誌に掲載された新しい研究論文「RapA Opens the RNA Polymerase Clamp to Disrupt Post-Termination Complexes and Prevent Cytotoxic R-loop Formation(RapAはRNAポリメラーゼのクランプを開き、転写終了後複合体を解体して細胞毒性Rループの形成を防ぐ)」では、大腸菌(E. coli)において酵素RapAがRループの形成を防ぐ仕組みが解明され、全ての細胞がゲノムの安定性をどのように維持しているかについて重要な示唆を与えています。 この研究結果は、DNAをRNAへと転写する役割を担うRNAポリメラーゼ(acronym: RNAP, original English term: RNA polymerase)という酵素が、特定の条件下ではRループを大量に生成してしまう可能性があることを示しています。しかし、それを未然に防いでいるのがRapAというタンパク質です。 「Rループは基本的に細胞にとって厄介な存在なので、それらの形成を防ぐために、細胞は多数の冗長的な機構を備えています」と、ロックフェラー大学分子生物物理学研究室の主任であるセス・ダーシュト博士(Seth Darst, PhD)氏は語ります。「私たちは長年関心を持っていたRapA
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