MRSAから守る新たな抗体メカニズムを発見

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、コミュニティや病院での感染症の主要な原因の1つとして知られており、2022年には全世界で約12万人の命を奪いました。それ以外の抗生物質感受性株による死者数はさらに多いとされています。しかし、これまでに黄色ブドウ球菌に対する効果的なワクチンの開発は成功していません。アムステルダムUMCを中心とした研究チームは、感染防御に重要な免疫成分を発見し、将来のワクチン開発に新しい方向性を示しました。この研究結果は2024年9月17日付けでCell Reports Medicine誌に発表されました。オープンアクセス論文「Glycan-Specific IgM Is Critical for Human Immunity to Staphylococcus aureus」(グリカン特異的IgMは黄色ブドウ球菌に対する人の免疫において重要である)」に掲載されています。

IgM抗体の重要性:従来の常識に挑戦

アムステルダムUMCのトランスレーショナル微生物学教授、ニーナ・ファン・ソルヘ博士(Nina van Sorge, PhD)は、「従来の考え方では、IgG抗体が黄色ブドウ球菌を認識し、免疫細胞が細菌を殺すのを助けると考えられてきました。しかし、私たちの研究は、この前提に異議を唱えます。感染中の黄色ブドウ球菌を排除するには、IgGではなくIgM抗体が必要であることを示しました」と述べています。

糖鎖を標的とする抗体が鍵

研究チームは健康な人々の血液中に含まれる黄色ブドウ球菌を認識する抗体を調査しました。特に注目したのは、細菌を包む「糖鎖」です。調査の結果、ほとんどの健康な人がこの糖鎖を認識するIgGおよびIgM抗体を持っていることがわかりました。しかし、実験室での検証では、IgM抗体が細菌を殺す効果がIgGよりもはるかに高いことが明らかになりました。

臨床的意義と治療の可能性

致命的な黄色ブドウ球菌の血流感染症を患う患者の血液中では、糖鎖特異的IgM抗体のレベルが健康な人よりも著しく低いことが確認されました。特に、感染症を乗り越えられなかった患者ではIgM抗体の量が最も少なかったとされています。研究チームは、糖鎖特異的IgM抗体の不足が深刻な感染症や死亡のリスクを高める可能性があると考えています。この仮説をさらに裏付けるためには追加の研究が必要ですが、これらの発見は、将来のワクチン開発や免疫強化療法の新たな道を開くものと期待されています。

[News release] [Cell Reports Medicine article]

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