2013年6月25日付「American Society for Microbiology」誌のオンライン・オープンアクセス・ジャーナル「mBioR」掲載の研究論文によれば、新型の手のひらサイズのマイクロアレイは、真菌、細菌の個別培養器を最大1,200個使用でき、以前よりもさらに迅速かつ効率的に創薬が可能になる。San AntonioのUniversity of TexasとFort Sam HoustonのU.S. Army Institute of Surgical Researchの研究者チームは、真菌バイオフィルムを培養するマイクロアレイ・プラットフォームを開発し、この技術がCandida albicansバイオフィルムに対する有効な新薬の開発に役立つ可能性を実証した (写真は一般的なマイクロアレイであり、この記事の新開発製品ではない)。

 

論文著者によれば、いつか、ナノスケール・プラットフォーム技術が、どんな種類の真菌や細菌による感染でも治療可能な医薬を迅速に見つけ出したり、臨床試験で特定の感染に対してもっとも効果的な抗生物質を選び出すことを可能にするかも知れないとのことである。


San Antonio のUniversity of Texas に所属する、論文共同著者のDr. Jose Lopez-Ribotは、「私たちの研究では抗真菌剤開発を念頭に装置の開発を行ったが、この装置は実際には万能ツールだ。微生物培養の新しいプラットフォームとして可能性が広がっている。大量の培養が必要な時はこの装置は他の方法に比べて格段に優れている。この技術を他の生物体に用いることは大いに可能だ」と述べている。マイクロ・テクノロジー、ナノ・テクノロジーの応用で迅速化、高効率化が可能なため、微生物学や医学もますますこういった技術を取り入れるようになっている。

これまで微生物培養はほとんどがフラスコやマイクロタイター・プレートなどの比較的大きなサイズで行われてきてが、それに比べてマイクロアレイ技術は、細菌や真菌の個別培養を百千の単位で迅速に比較することが可能で、感染症治療の新薬を見つける上で非常に有用といえる。しかも、一般的にナノ・テクニックは自動化されているが、mBioRで紹介されているナノ培養の技術もその例にもれない。正確な自動化により時間を節約し、再現性を高め、人的ミスを防ぐことができる。

論文著者は、このテクニックを試験するため、日和見病原体のC. albicansの細胞を、マイクロアレイ表面の1,200個の小さなアルギネート・スポットの一つ一つに植え付けた。
顕微鏡下で、それぞれ30ナノリットルという容積のC. albicansナノ・バイオフィルムが、通常の巨視的環境のバイオフィルムと同じ成長形態や外的特徴を示し、12時間以内に最大の代謝活動に到達した。
その微小な培養操作を、さらにNational Cancer Instituteライブラリーの様々な候補薬物や各種FDA認可済み、特許満了の抗真菌薬に免疫抑制薬のFK506を加えて処理し、バイオフィルム感染に対する各化合物の個別効果、相乗効果を判定した。論文の共同著者、University of TexasのDr. Anand Ramasubramanianは、試験で薬物組み合わせの選別にこの技術が有用であることが実証されたとして、「抗真菌剤選別試験の結果は、はるかに大きな従来の巨視的環境のテクニックによる結果とよく似ていた。
このことから、既存のテクニックに代わるものとして安心してマイクロアレイを使えることは明らかだ」と述べている。

Dr. Ramasubramanianは、「今後、私たちの研究対象は、マイクロアレイで複数の真菌や細菌の混じった培養を行い、混合感染の治療にこの技術を適用することだ」と述べている。

さらに研究チームは、個別化医療を開発するために患者から採取したサンプルを単一医薬、混合医薬のアレイで試験し、このテクニックの臨床的応用分野を探っている。

Dr. Lopez-Ribotは、「このマイクロアレイ・テクニックは、これまで何十年にもわたって科学界で続けられてきた微小化への努力がまた一つ最新の成果を生んだということだ。技術は微小化に向かうと同時にますますパワフルなテクニックに向かっている。過去にはこのようなアッセイには百万個単位の細胞を必要としたが、今は数個の細胞があれば十分だ」と述べている。

■原著へのリンクは英語版をご覧ください:Palm-Sized Microarray Can Grow 1,200 Individual Microbe Cultures

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