Dana-Farber Cancer Institute、Massachusetts Institute of Technology (MIT)、その他の研究機関の共同研究チームは、膵がん発症早期の徴候を突き止めた。症状が現れ、疾患が診断される前に特定のアミノ酸が急激に増えるのである。この研究論文は、2014年9月28日付Nature Medicineオンライン版に掲載された。

 

急激な増加といっても早期発見の新しいテスト方法の対象にできるほど大きな増加ではないが、膵がんが身体の他の部分にどのような影響を及ぼすか、特にカヘキシーと呼ばれる致命性の高い筋肉衰弱症状を引き起こす機序などの理解を促す可能性がある。この研究で、MITとDana-Farber のMatthew Vander Heiden, M.D., Ph.D.と共同筆頭著者を務めたDana-Farber のWolpin, M.D., M.P.H.は、「(膵がんでもっとも一般的な形の)膵管腺癌 (PDAC) は、進行期に入ってから発見されるため、発見後1年以内に死亡する患者が多い。この疾患を早期に発見できれば治療が成功する見込みも高まるはず。


この研究ではPDACが代謝を変化させるどうかを調べた。代謝の変化とは身体がエネルギーや栄養物を利用する方法が変化することであり、その変化は疾患より早く発見できることが判明した」と述べている。

研究チームは、何年か前に実施した大規模な健康追跡研究の参加者1,500人から採取した血液試料を利用した。その上で、新陳代謝の産物である100種類を超える代謝物質について試料を分析し、膵がんを発症した参加者としなかった参加者のデータを比較した。

Dr. Wolpinは、「膵がんを発症した人は、発症しなかった人と比べると、分枝鎖アミノ酸のレベルが高いという結果が出た」と述べている。分枝鎖アミノ酸はタンパク質を構成するアミノ酸の一グループである。
この分枝鎖アミノ酸の血中レベル判定から膵がんの診断までの期間は2年から25年までまちまちだが、もっとも多かったのは膵がん診断まで数年の期間だった。

Dr. Wolpinは、「この結果から、分枝鎖アミノ酸量の増加が早期膵がんによって引き起こされているのではないかという仮説を立てた」と述べている。さらにこの仮説は、MITのKoch Institute for Integrative Cancer ResearchのDr. Vander Heidenらのグループのラボ実験によって裏付けられた。
その実験では、新しく膵がんが形成されたマウスの側鎖アミノ酸血中レベルが正常値を上回っていたのである。

研究グループは、筋肉細胞の崩壊で側鎖アミノ酸が血流中に放出されるために血中レベルが上昇することを突き止めた。さらにがん性悪液質患者の場合でも同じようなプロセスが起きていた。
Dr. Vander Heidenは、「研究の結果、筋肉組織タンパク質の崩壊はこれまで考えていた以上に疾患の早い時期から始まっていることが分かった」と述べている。

研究論文は、「この結果から、膵がんが患者の正常細胞とどのように反応するのかを研究する重要な足がかりが得られた」と述べており、さらに、「この研究で膵がんのために身体全体で栄養の動きが変わっていくらしいことがつかめた。今後、膵がんを早期に発見し、新しい治療法を開発できる可能性が生まれた」としている。

■原著へのリンクは英語版をご覧ください: Researchers ID Early Sign of Pancreatic Cancer

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