「ゾンビ細胞」p53で無力化?加齢に伴う慢性炎症と疾患予防に新知見

サイエンス出版部 発行書籍
私たちの体の中で、歳とともに増え続け、まるで「ゾンビ」のように居座っては悪さをする細胞がいることをご存知ですか?これらは「老化細胞」と呼ばれ、分裂をやめた後も体内に残り、周囲に炎症を引き起こす物質をまき散らします。この慢性的な炎症こそが、多くの加齢関連疾患の引き金になると考えられています。この「体内の火種」を消し止める鍵を、サンフォード・バーナム・プレビス医学研究所の研究チームが発見しました。そのヒーローは、細胞のがん化を防ぐ「門番」としても知られるDNA修復タンパク質「p53」。p53が、老化細胞による炎症を抑え、さらにはその原因となる細胞内の「ゴミ(損傷DNAの断片)」の発生も防ぐというのです。2025年3月5日に「Nature Communications」誌で発表されたこの研究は、p53をターゲットにした新しい老化予防・治療戦略への道を開くかもしれません。 論文タイトルは「p53 Enhances DNA Repair and Suppresses Cytoplasmic Chromatin Fragments and Inflammation in Senescent Cells(p53は老化細胞におけるDNA修復を強化し細胞質クロマチン断片と炎症を抑制する)」です。研究を率いたサンフォード・バーナム・プレビス医学研究所(Sanford Burnham Prebys)のがんゲノム・エピジェネティクスプログラムのディレクター兼教授であるピーター・アダムス博士(Peter Adams, PhD)は、老化細胞の炎症プログラムが健康長寿の大きな障害となっていると指摘しています。 この炎症プログラムを「実行している」細胞は、老化関連分泌現象(SASP: senescence-associated secretory phenotype)を示すと考えられています。炎症
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