グリア細胞の新機能発見―繊毛保護メカニズムが明らかに

グリア細胞の新機能発見―繊毛保護メカニズムが明らかに

サイエンス出版部 発行書籍

神経細胞が注目を浴びる一方で、グリア細胞なしでは成り立ちません。 脳の神経細胞が神経系における主要な働きを担う一方で、栄養供給、老廃物の除去、神経細胞の保護といった役割を果たしているのがグリア細胞です。2025年1月2日に『Nature Communications』誌に掲載された新たな論文では、これらの重要なサポート役であるグリア細胞が神経細胞の損傷を感知し、反応する新たな仕組みが明らかにされました。この研究では、2つの主要なタンパク質が、線虫(C. elegans)の樹状突起から伸びる毛のような繊毛をグリア細胞が積極的にモニタリングし、損傷時に対応・防御する働きを果たしていることが示されています。この発見は、多嚢胞腎疾患(PKD)など、繊毛の異常が原因となる疾患の治療法開発においても新たな可能性をもたらすかもしれません。 このオープンアクセス論文のタイトルは「Glia Detect and Transiently Protect Against Dendrite Substructure Disruption in C. elegans(グリア細胞はC. elegansの樹状突起構造の破壊を感知し、一時的に保護する)」です。 「グリア細胞が樹状突起とどのように関与するかという経路を明らかにすることが、我々の主な目的でした」と語るのは、ロックフェラー大学 発生遺伝学研究室の責任者、シャイ・シャハム博士(Shai Shaham, PhD)です。 「今後の重要な課題は、この細胞の働きを操作することで、繊毛に関連する疾患に対応できるかどうかです。」 未知の領域へ 神経細胞は、情報を伝達するために軸索と樹状突起を用いており、軸索は信号を送り出す役割、樹状突起は信号を受け取る役割を担っています。一部の樹状突起の先端には繊毛が伸びており、これによってにおいや光、

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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