ハチの生存における栄養とストレスの重要性:イリノイ大学研究

米国イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の研究者らは、ミツバチの生存に影響を及ぼす栄養不足、ウイルス感染、農薬曝露という3つの要因の相互作用を解明する研究を行いました。この研究は、栄養状態の良し悪しが他の要因による影響を大きく左右することを明らかにし、2024年8月2日に「Science of the Total Environment」誌に掲載されました。論文タイトルは「Nutrition, Pesticide Exposure and Virus Infection Interact to Produce Context-Dependent Effects in Honey Bees(栄養、農薬曝露、ウイルス感染が相互作用してミツバチに文脈依存的な影響を及ぼす)」です。

多因子が生存に与える影響

研究を主導した大学院生エドワード・シエ氏(Edward Hsieh)とイリノイ大学昆虫学教授アダム・ドレザル博士(Adam Dolezal, PhD)は、ミツバチの生存率における複数のストレス要因の影響が状況に依存することを発見しました。「複数のストレス要因は通常生存に悪影響を及ぼしますが、その影響は常に文脈依存的です」とシエ氏は述べています。

従来の研究では、栄養不足と農薬、または農薬とウイルス感染といった1~2要因の相互作用に焦点が当てられることが一般的でしたが、本研究は3要因すべてを一度に検討する初の試みとなります。

栄養がもたらす抵抗力の向上

研究チームは、アイオワ州の農地周辺の復元された草原から採取した花粉を使用し、実験室で飼育されたミツバチを用いた実験を行いました。農薬として有機リン系のクロルピリホス、ピレスロイド系のラムダ-シハロスリン、ネオニコチノイド系のチアメトキサムが使用されました。また、ミツバチのコロニー崩壊に関与するとされる「イスラエル急性麻痺ウイルス」に感染させる実験も行われました。

人工花粉を与えた群では、ウイルス感染により死亡率が高まり、農薬との同時曝露でさらに悪化しました。しかし、天然花粉を与えた群では状況が異なり、特定の農薬とウイルスの組み合わせに対して耐性が向上しました。

「ミツバチにはストレスに対処する本来的な能力が備わっており、良質な栄養がその能力を発揮させる鍵となることが示されました」とドレザル博士は語っています。

農薬のリスクと高品質な生息地の意義

農薬がミツバチに与える影響は一概には言えないものの、研究は農地周辺に良質な草原を提供することでミツバチの回復力を高められる可能性を示唆しています。「農薬やウイルスがほとんどのケースでミツバチに有害であることは事実ですが、良質な生息地の提供がこれらのストレスを和らげる手助けになることがわかりました」とシエ氏は述べています。

本研究は、食品農業研究財団(Foundation for Food and Agriculture Research)および北米受粉者保護キャンペーン(North American Pollinator Protection Campaign)の支援を受けて実施されました。

[News release] [Science of the Total Environment abstract]

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