あなたの家のトコジラミも?殺虫剤が効かない「最強害虫」の進化の謎

かつて世界中で猛威を振るい、一度は根絶寸前まで追い詰められたトコジラミ。しかし、近年その勢いを盛り返し、多くの殺虫剤に耐性を持つ「スーパー耐性トコジラミ」として再び私たちの生活を脅かしています。なぜ彼らはこれほどまでに手強くなったのでしょうか?その謎を解き明かす鍵となる、驚くべき遺伝子変異が発見されました。第二次世界大戦後、世界中に蔓延したトコジラミは、1950年代に殺虫剤であるジクロロジフェニルトリクロロエタンの使用によってほぼ根絶されましたが、この化学物質はその後使用が禁止されています。以来、この都市部の害虫は世界的に個体数を増やし、駆除に使われる様々な殺虫剤への耐性を示してきました。 この度、医学昆虫学ジャーナルJournal of Medical Entomologyに掲載された研究で、都市昆虫学者であるウォーレン・ブース博士(Warren Booth, PhD)が率いるバージニア工科大学の研究チームが、その殺虫剤耐性の一因となりうる遺伝子変異を発見したことが詳しく報告されました。2025年3月14日に発表されたこの研究論文のタイトルは、「First Evidence of the A302S Rdl Insecticide Resistance Mutation in Populations of the Bed Bug, Cimex lectularius (Hemiptera: Cimicidae) in North America(北米におけるトコジラミ個体群におけるA302S Rdl殺虫剤耐性変異の最初の証拠)」です。 この発見は、ブース博士が大学院生のカミーユ・ブロック氏(Camille Block)の分子研究技術を育成するために設定した研究から偶然生まれたものでした。「これは純粋に、何が釣れるかわからない『釣り』のような調査でした」と、農学・
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