1万人超のゲノム解析で判明した先天性心疾患の複雑な遺伝的背景とは?

サイエンス出版部 発行書籍
生まれつき心臓に病気を持つ赤ちゃんは決して少なくありません。しかし、最も一般的な先天異常の一つであるにもかかわらず、その根本的な遺伝的原因の全貌は、長らく謎に包まれていました。もし、赤ちゃんの心臓の病気の原因を遺伝子レベルで深く理解し、将来起こりうる他の病気のリスクまで予測できるとしたらどうでしょうか?この度、11,000人以上の子供たちを対象とした大規模なゲノム研究が、先天性心疾患の複雑な遺伝的背景を解き明かし、診断やリスク評価のあり方を変える可能性のある、画期的な知見をもたらしました。 11,000人以上のゲノム解析で先天性心疾患の原因遺伝子60個を特定 先天性心疾患は最も一般的な先天異常の一つですが、その遺伝的基盤の全容は謎に包まれていました。今回、CHDを持つ11,000人以上の子供を対象とした新しい研究により、CHD患者において偶然とは考えられない頻度で変異が見られる60の遺伝子が特定されました。 この研究は、米国国立衛生研究所(NIH)の国立心肺血液研究所から資金提供を受け、複数の機関が協力してCHDの遺伝的原因を特定し、遺伝的要因、臨床的特徴、および予後の関係を理解することを目的とした、小児心臓ゲノムコンソーシアム(PCGC: Pediatric Cardiac Genomics Consortium)の一環として行われました。 2025年3月24日に「PNAS(米国科学アカデミー紀要)」で発表されたこの研究結果は、複雑な遺伝的状況を明らかにしました。特定された遺伝子の半数以上はファロー四徴症などの特定の心奇形に関連しており、他の遺伝子の変異は多様なCHDサブタイプだけでなく、自閉症を含む神経発達障害も引き起こしていました。変異の中には自然発生的に生じる新規(de novo)のものもあれば、臨床的に症状のない親から遺伝したものもありました。
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