脳の謎に迫る!小脳シナプスの「設計図」を世界で初めて解明

脳の謎に迫る!小脳シナプスの「設計図」を世界で初めて解明

私たちが何気なく行っている歩行や、バランスを取るといった複雑な動き、そして学習や記憶といった高度な思考。これらはすべて、脳の中にある「小脳」という部分で、無数の神経細胞が情報をやり取りすることで成り立っています。その情報の受け渡し場所である「シナプス」は、まさに生命活動の根幹をなす極めて重要な接続点です。 もし、この超微細な接続点の「設計図」を、分子レベルで詳細に覗き見ることができたとしたらどうでしょう? この度、科学者たちは最先端の技術を駆使して、その偉業を成し遂げました。脳科学における長年の謎であった小脳シナプスの構造が初めて明らかになり、将来の医療に新たな光を当てる可能性がでてきました。 科学者たちはクライオ電子顕微鏡法を用いて、脳の小脳にある神経細胞をつなぐ重要な受容体の構造と形状を、世界で初めて明らかにしました。脳幹の後ろに位置する小脳は、運動の協調、平衡感覚、認知といった機能において極めて重要な役割を果たしています。2025年6月23日に科学雑誌『Nature』誌で発表されたこの研究は、怪我や遺伝子変異によってこれらの構造が破壊された際に、それらを修復する治療法の開発につながる可能性のある新しい知見を提供するものです。影響を受ける運動能力には、座る、立つ、歩く、走る、跳ぶといった動作や、学習・記憶が含まれます。この論文のタイトルは「Gating and Noelin Clustering of Native Ca2+-Permeable AMPA Receptors(天然のCa2+透過性AMPA受容体のゲーティングとノエリンによるクラスタリング)」です。 オレゴン健康科学大学(OHSU)の科学者たちによるこの発見は、直ちに新薬や治療法に結びつくものではありませんが、人間の健康を向上させるために何十年にもわたって維持されてきた、米国の医学研究への取り組

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Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

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