細菌 vs. ウイルス:コレラ菌の巧妙な防御戦略が明かす、感染爆発のメカニズム

「コレラ」と聞くと、多くの人は汚染された水や、脆弱な地域で発生する悲劇的な集団感染を思い浮かべるでしょう。しかしその水面下では、コレラ菌が目に見えない熾烈な戦争を繰り広げていることをご存知でしょうか。このミクロの戦いは、パンデミックの行方そのものを左右する力を持っています。コレラ菌の敵は、抗生物質や公衆衛生対策だけではありません。彼らは常に、細菌に感染して殺すウイルスである「バクテリオファージ(ファージ)」からの攻撃にもさらされています。このウイルスは、個々の感染症に影響を与えるだけでなく、流行全体を左右することさえあるのです。この細菌とウイルスの終わりなき軍拡競争の秘密が、今、明らかになろうとしています。 パンデミックの裏側:コレラ菌は天敵ウイルスから身を守る「免疫システム」を持っていた 実際に、特定のバクテリオファージは、コレラの原因菌であるコレラ菌を殺すことで、コレラの流行規模や期間を制限していると考えられています。 1960年代から続く進行中の第7次コレラパンデミックは、第7次パンデミックEl Tor(7PET: seventh pandemic El Tor)株として知られるコレラ菌株によって引き起こされ、連続的な波となって世界中に広がりました。この進化の軍拡競争の中で、細菌はファージに対抗するために適応し、防御メカニズムを発達させてきました。例えば、多くの細菌株は、抗ウイルスツールを備えさせる可動性の遺伝因子を持っています。では、なぜ特定のコレラ株は、これほどまでにファージの攻撃を回避するのが得意なのでしょうか?そして、その能力が病原菌の人間社会への壊滅的な影響を可能にしたり、強化したりするのでしょうか? ここで一つの出来事が際立ちます。1990年代初頭、コレラの流行がペルーとラテンアメリカの大部分を席巻し、100万人以上が感染し、数千人が
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Edited by Michael D. O'Neill
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