【遺伝子治療の壁を破る】進行した網膜疾患にも効く「最強のスイッチ」を開発

【遺伝子治療の壁を破る】進行した網膜疾患にも効く「最強のスイッチ」を開発

遺伝子の異常によって徐々に光を失っていく――。そんな遺伝性の目の病気に苦しむ人々にとって、これまで遺伝子治療は一筋の光でした。しかし、その光には「手遅れ」という影がつきまとっていたのも事実です。病気が進行し、視細胞が多く失われてしまうと、治療の効果は大きく下がってしまうためです。もし、病気が進んだ状態からでも力強く治療遺伝子を働かせることができる「希望のスイッチ」があったなら。このほど、ペンシルベニア大学の研究チームが、まさにそのスイッチとなる画期的なツールを開発し、これまで治療が難しかった患者さんたちに新たな可能性をもたらそうとしています。 進行した網膜疾患にも届く、強力な遺伝子治療ツールが開発される ペンシルベニア大学獣医学部の視覚科学者らが主導する共同研究チームが、病気の中期から後期段階にある桿体および錐体視細胞において、強力かつ特異的な遺伝子発現を駆動する新規プロモーターを開発しました。これは、中期から後期の遺伝性網膜疾患に対する効果的な治療法を提供する可能性があります。 キーポイント ペンシルベニア大学獣医学部の視覚科学者らが、視力喪失を引き起こす進行した遺伝性網膜疾患の治療という課題に取り組むため、4つの新規プロモーターという新しいツールを開発しました。 これらのプロモーターは、病気の中期から後期であっても桿体および錐体視細胞で強力かつ特異的な遺伝子発現を促し、現在網膜の遺伝子治療で用いられているほとんどのプロモーターを凌駕します。 これらの新規プロモーターは、アデノ随伴ウイルスを介した効果的な送達に理想的なサイズです。 遺伝性網膜変性症は、目の光を感知する細胞である視細胞が、その機能と生存に必要な遺伝子の変異によって死滅し、進行性の視力喪失につながる一連の遺伝性疾患です。 遺伝子治療は、欠陥のある遺伝子を置き換えたり補ったりする

Life Science News from Around the Globe

Edited by Michael D. O'Neill

Michael D. O'Neill

バイオクイックニュースは、サイエンスライターとして30年以上の豊富な経験があるマイケルD. オニールによって発行されている独立系科学ニュースメディアです。世界中のバイオニュース(生命科学・医学研究の動向)をタイムリーにお届けします。バイオクイックニュースは、現在160カ国以上に読者がおり、2010年から6年連続で米国APEX Award for Publication Excellenceを受賞しました。
BioQuick is a trademark of Michael D. O'Neill

LinkedIn:Michael D. O'Neill

 

【サイエンス雑誌シリーズ】Amazonストアにて好評販売中!