細胞を傷つけずに内部を計測、夢の量子バイオチップが拓く医療の未来

サイエンス出版部 発行書籍
生きている細胞の中を、まるでSF映画のように量子レベルの精度で覗き見ることができたら。そんな夢のような技術が、今、現実のものとなろうとしています。ケンブリッジ大学の研究チームが開発した画期的な量子チップは、生きた細胞や生物の内部を傷つけることなく、その微細な環境をリアルタイムで感知することを可能にしました。この小さなチップが、生命の謎を解き明かし、未来の医療を大きく変えるかもしれません。 量子技術で生命の営みをリアルタイムに捉える ナノスケールのバイオセンシング分野において、ケンブリッジ大学の研究者たちが大きな飛躍を遂げました。彼らが発表した「Q-BiC」は、生きた生物の内部で温度、磁場、そして局所的な細胞環境をリアルタイムで感知できる、コンパクトで生体適合性を備えた量子チップです。マイクロ波の伝送、温度制御、マイクロ流体技術を単一のプラットフォームに統合したこのチップのおかげで、史上初めて、細胞を傷つけることなく量子スピンを利用したセンサーを使用できるようになりました。この研究成果は、2025年3月18日にオープンアクセスジャーナル『PRX Life』に掲載され、その論文は「Q-BiC: A Biocompatible Integrated Chip for in Vitro and in Vivo Spin-Based Quantum Sensing(in Vitroおよびin Vivoでのスピンベース量子センシングのための生体適合性集積チップ)」と題されています。 Q-BiCの心臓部には、強力な量子センサーとして知られるダイヤモンド中の窒素-空孔(NV: Nitrogen-Vacancy)中心が存在します。この原子スケールの欠陥は、光で励起しマイクロ波で読み出すことで、局所的な物理パラメータの微細な変化を検出できます。NV中心は物性物理学の分野で長年研究さ
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