細胞のストレス防御機構「ペルオキシレドキシン化」とは?酵素の新たな役割を解明

サイエンス出版部 発行書籍
私たちの体を酸化ストレスから守る酵素「ペルオキシレドキシン」。この酵素の主な役割は、有害な活性酸素を除去することだと長年考えられてきました。しかし、最新の研究が、この酵素が持つ驚くべき「第二の顔」を明らかにしました。ストレスに晒された細胞内で、この酵素は重要なタンパク質に一時的に結合し、まるで盾のように保護する、これまで知られていなかった防御メカニズム「ペルオキシレドキシン化」の存在が突き止められたのです。この発見は、細胞がどのようにして過酷な環境を生き抜くのか、その理解を大きく塗り替えるものです。 2025年2月に「Cell Reports」誌に掲載された、サイゼンバッハー氏(Seisenbacher)らによる新しい研究「レドックスプロテオミクスはストレス保護におけるペルオキシレドキシン化の役割を明らかにする(Redox Proteomics Reveal a Role for Peroxiredoxinylation in Stress Protection)」は、真核細胞が環境ストレス下でタンパク質の機能を維持するのを助ける、これまで十分に評価されていなかったレドックスベースのメカニズムを提唱しました。この研究は、「ペルオキシレドキシン化」という新規の翻訳後修飾を特定しました。この修飾では、ペルオキシレドキシン酵素Tsa1が、細胞内の主要なタンパク質と共有結合性の混合ジスルフィド中間体(TIMDI: covalent mixed disulfide intermediates)を形成します。この修飾は、酸化的、熱的、化学的ストレッサーによって引き起こされる損傷から細胞を保護する上で、極めて重要な役割を果たします。 解毒作用を超えて広がるレドックス制御 ペルオキシレドキシン(PRX: Peroxiredoxins)は、過酸化水素を還元し、レドックス恒常性
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