ほ乳類のゲノム編集に画期的なCRISPR/Cas9システム採用の道を開いたことで知られる研究者らのチームがまた新しいCRISPRシステムを発見した。このシステムは従来よりも簡単で精密なゲノム編集を可能にすると期待されている。ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学が共同で運営するBroad Institute of MIT and Harvard、MITのMcGovern Institute for Brain ResearchのDr. Feng Zhang (写真) と同僚研究チーム、共著者である、National Institutes of HealthのDr. Eugene Koonin、Broad Institute and the MIT Department of BiologyのDr. Aviv Regev、オランダのWageningen UniversityのDr. John van der Oostらは、この新しいシステムの持つ予想外の生物学的特徴を述べ、さらに、作り替えてヒト細胞の編集に充てられることを示した。2015年9月25日付Cell誌オンライン版に掲載された研究論文は、「Cpf1 Is a Single RNA-Guided Endonuclease of a Class 2 CRISPR-Cas System (Cpf1はクラス2のCRISPR-CasシステムのRNA誘導型エンドヌクレアーゼ)」と題されている。   Broad InstituteのDirectorで、ヒト・ゲノム・プロジェクトのプリンシパル・リーダーの一人、Dr. Eric Landerは、「この研究は、遺伝子工学の進歩に大きな可能性を持っている。この論文は、これまで性質が突き止められていなかったCRISPRシステムの機能を明らかにしただけでなく、Cpf1をヒト・ゲノム編集

オーストラリア連邦メルボルンの研究チームが、「マラリア原虫が互いにコミュニケーションし、種の生存と他の人に感染するチャンスを高くする社会行動をするらしい」という驚くべき発見を報告している。この発見から、マラリア原虫のコミュニケーションの仕組みが解明されれば、そのネットワークを遮断することでマラリアの予防や治療の薬、ワクチンを開発する足がかりになるかもしれない。 Walter and Eliza Hall InstituteのAlan Cowman教授、Dr. Neta Regev-Rudzki、Dr. Danny Wilsonらが、University of MelbourneのBio21 Institute、Department of Biochemistry and Molecular BiologyのAndrew Hill教授と共同で研究を行い、マラリア原虫がエキソゾーム様小胞に情報を詰め、体内の他のマラリア原虫に情報を伝えることができるという証拠をつかんだ。この研究論文は2013年3月15日付「Cell」誌に掲載された。Cowman教授は、「複数のマラリア原虫が、人体中の無性生殖段階から、媒介してくれる蚊に吸い上げられやすくするため、昆虫内での有性生殖に適した性的に成熟した成体に変化する過程で協力し合っているらしいという発見は研究チームにとっても衝撃的だった。Netaがデータを見せてくれた時、私自身、正直なところ驚いた。信じられないことだった。マラリア原虫がほんとうに互いに信号を送り、コミュニケートしているのだと確信するまで、研究チームは何度もやり方も変えて実験を繰り返した。しかし、やがてなぜマラリア原虫がこのようなメカニズムを必要としているかが理解できるようになった。マラリア原虫は人体から蚊に移される確率を高めるため、有性生殖に適した生殖体に変化するが、そ

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